2005年7月5日

Deep Impact

今朝、出かける支度をしながら、チャンネルを回して朝の番組をチェックしていたら、民放のワイドショー(9時台)でディープインパクトのニュースをやっていました。全部を見たわけではないのですが、画面には「360億円」とでかでかと表示されていました。お金かかりすぎといった論調ではないのですが、皆さん微妙な表情をしていたのが印象的です。おそらく、出演者の皆様の表情は「彗星の核に金属球ぶつける計画で360億円は割安か割高か」ということが瞬時に判断出来なかったからでしょう。これはいったい誰が判断出来ることなんでしょうかね。

個人的にはワイドショーはバイアスがかなり掛かっていて良い情報源とは思えないのですが、ふつう、国民はこのような情報に接して国政にフィードバックをかけるわけです。サラリーマンの増税がどうとか、郵政民営化がどうとかいうニュースなら、まあそれなりに日常的な感覚で意見を言えると思うのですが、例えばこのディープインパクト計画のように(日本の計画ではないですが)自分たちとどのように関係してくるのかいまいちピンとこない話については、キツネにつままれたような気になるのが普通だと思います。科学の進歩のためには必要なんだろうけど、でも、なんか???といった感じでしょうか。民放のワイドショーで予算額を切り口に紹介していたのも、他の切り口がよくわからなかったからなんでしょうね。

せっかくの朝のワイドショーで取り上げておきながら、予算額の話に重点が置かれるなんて、もったいない。このディープインパクト計画でどんなことがわかるのか、せっかく大金を使ったのにその内容を報道しないで、使った額を強調して報道するなんてアホらしいなぁと思いながら見ていました。内容も、成果も、計画に掛かった額も偏りなく報道して欲しいところです。そのためには、もっと研究者側も情報を積極的に提供しなきゃいけないんでしょうね。

しかし、民放の電波の無駄遣いぶりはひどい。どこぞの兄弟のニュースなんて、もしどこも報道しなければほとんど誰も気にしないだろうに。国民があの兄弟の確執を知らねばならぬ理由がどこにあるのかぜひ教えて欲しいところです。その兄弟にとっても不幸な、見せられる視聴者にとってもなんの益もない番組が成り立つ理由はただひとつ、楽に稼げる題材だからじゃないでしょうかね。TV関係者には優秀な人材が数多くいますが、一方でえらいレベルの低い人材もいて、うーん、不思議な業界です。

「視聴者が求めるから、そういう番組を作るんだ」というのはまったくの詭弁です。マスコミが視聴者の興味を作って、煽動した結果に過ぎないのはちょっと考えれば、当たり前の話です。そうやって視聴者の信用を知らず知らずのうちに落としていることは、正しい情報を国民に伝えるという報道それ自身の存在意義を否定する結果につながるんじゃないでしょうかねー。公共資源である電波を利用しているのに、それでいいんですかね。しかし、この論法って、そういえばプラネタリウムで星座・神話の話が多いって話に似ているかも。「天文ファンは星座や神話の話を求めてるんだ」というのも、本当にそうなの?と思ってしまいます。どうなんでしょうかね。

投稿者 たかなし : 10:50 | -

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