2005年12月15日

科学者になんてなりたくない。

朝日新聞に【理科大好きでも科学者イヤ 中3男子56%・女子81%】という記事が載っていました。

これによると、中3生560人のうち「面白くて他の教科より好き」が33%、「面白いがもっと好きな教科がある」が32%、「面白くなく嫌い」が33%。「面白くて他の教科より好き」と答えたグループは将来の職業についての質問に対して、「科学者になりたい」との回答は『わずか(記事そのまま引用)』34%(男子44%、女子19%)。男子の56%、女子の81%は「なりたくない」と答えたそうです。日本の子どもに科学者の絵を描かせるとマニアックで暗いイメージの絵が多いそうで、記事では調査した小川神戸大教授のコメント「科学者が身の回りで普通に生活している現実味のある存在として見えていないからではないか」を引用しています。

この記事、みなさんはどう読まれましたか?僕の最初の感想は、『科学者志望が多いなぁ』でした。どの教科より理科が好きな人が3割、その中で科学者になりたい人が3割。つまり10人に一人、40人学級では4人が科学者になりたいと思っている、ということになります。自分が中学生だった頃を思い出しても、これはかなり高い割合だと思います。この10年で科学者志望が増えたんでしょうかね。

気になるのはこの調査の目的、そして調査を行った人たち、あるいはこの記事を伝える人たちが目指す世界です。まさか「みんなが科学者を希望すればいい」なんて思っていないと思いますが、どのような世界をご希望なのでしょうかね? 個人的には、科学者を目指す人間として科学者が嫌われてしまうのはいい気分ではないですが、当然ですが世の中には科学者だけでは対応できない事柄が山のようにあるわけで、別に理科好きみんなに科学者になってもらいたいとは思いません。むしろ、理科好きな学校の先生とか、理科好きの『普通の』お父さんお母さんが増える方が日本の科学の将来のためにはずっと重要でしょう。

科学者のイメージについては、髪ボサボサのおじいさんが白衣を着てフラスコ持ってアヤシゲな薬品を調合して…、というものが一般的なのでしょうか。東南アジアあたりのどこかの国で科学者のイメージを描かせると、パソコンに向かう若い男性の絵が多い、という話をどこかで聞いた気がします。これは漫画とかの影響なんでしょうかね?最近はいろんな大学でもオープンキャンパスとかサイエンスカフェとか様々な企画が実行されていますから、今後はそういうイメージも少しは変わっていくのでしょうか。やはり科学者が主人公なドラマか映画が必要ですよね!?

投稿者 平松正顕 : 00:24 | hiramatsu log

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コメント

みんながみんな、科学者を目指すことは必要ないと思いますが、
科学者が、身の回りにはいない希有な存在、何をやっているのか分からない高尚な人間、ってイメージは払拭したいですね。

市民と科学者がもっとふつうに触れあえる、そんな環境にしたいものです。
研究者もただの人間ですからね。
別に偉いわけでも何でもないし。
研究が好きでやってるだけですから。
そういう意味では、お菓子作りが好きでケーキ屋さんをやっているのとなにも変わりないですから。

投稿者 つかだ : 2005年12月16日 01:17

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