2005年12月27日
大平さんとATP - チャレンジの意味
みなさんはメガスター見たことあります? or ホームスター買いました? 先日天文台でメガスター製作者"プラネタリウムクリエイター" 大平貴之さんにお会いする機会を得ました。右は、そのときにもらったサイン on ATP です。
唐沢寿明の隣に「違いを楽しむ人」として座っていたり、半生がドラマ化されて堂本剛が演じていたり、一躍時の人となった大平さんですが、私が初めて大平さんに出合ったのは2000年のことでした。当時大学2年だった私は、所属していた東大地文研天文部が毎年駒場祭に出展する自作プラネタリウムの恒星投影機担当をやっていました。ウチのプラネは毎年作り直すことで(その筋では)有名で、恒星投影機も新しく作ることになったわけです。で、なんか新しいことしたいな、と思った僕は無謀にもレンズ式投影機を目指しました。当時手に入る資料といえば大平さんのウェブページのアストロライナーの仕組みくらい。プリントアウトしてにらめっこの日々が続きました。そして恐れ多くも大平さんに直接メールで質問したのです。何をたずねたのか忘れましたが、大平さんは優しく教えてくださり、そのあとも温かく見守っていただいたことを思い出します。学園祭でのプラネの公開は大平さんのページでも告知していただきました。
結果として、我々の代のプラネタリウムは、3日間ある学園祭の最終日の午後にようやく1回目の投影ができるという結果になりました。恒星投影機をレンズ式にしたことは(今から考えれば)大きな一歩でしたが、興行的には失敗だったでしょう。それでも、翌年以降、後輩たちが思いを継いで頑張ってくれたおかげで今ではレンズ式恒星投影機は完成の域に達し、そのおかげもあって今年はドームが直径12mに拡大されました。駒場第2体育館の5年前の地層には2000年恒星投影機担当者のシカバネが埋まっているわけですが、後輩たちが見事に超えていってくれました。いまでは、チャレンジしてよかったかな、と思っています。
『高い塔を建ててそこへのぼってみれば新たな地平が見えるものだ。』とは、JAXAのはやぶさプロジェクトマネージャー川口淳一郎氏の言葉ですが、まさにその通りです。それぞれにとっての新たな地平、それは小惑星への着陸であり、メガスターが映し出す500万個の星空であり、大学生の手によるレンズ式プラネタリウムであり、トイレットペーパー他での天文普及なのです。もちろん失敗しないための周到な準備は必要ですが(その意味で我々の代のプラネは一段下であるが)、前に進むためにはリスクは避けられないのです。そしてどこまで成功でどこがうまく行かなかったか、これをきちんと見極めることが次に進む重要なステップでしょう。失敗か成功かの二元論では前に進めません。
ということで続きは次回。
投稿者 平松正顕 : 22:02 | hiramatsu log
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