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2005年9月23日

誤報の続き

こう続くとイイ気分になりませんが、もうひとつ誤報を見つけました。中日新聞です。

http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20050914/mng_____sya_____002.shtml

名古屋大学のNANTEN望遠鏡がチリのアタカマにお引越しをして、観測を始めた、という記事です。問題は中段の

『より周波数の高い「サブミリ波」の本格的観測ができる施設としては世界で唯一だ。』

唯一なわけがありません。僕らが関わっているASTEも、ハワイの山頂にある SMA も JCMT も CSO もアメリカ本土の HHT もヨーロッパの KOSMA も南極の AST/RO も今は引退したチリの SEST も、富士山頂の東大の望遠鏡だってサブミリ波を観測できます。これら先行望遠鏡が『本格的』でないとしたら、何が本格的な観測なんでしょう。

こういう明らかな間違いはどこで起きてしまうのでしょうか。研究者がそんなことを言うとはとても思えません。研究者仲間はもちろん、NANTEN望遠鏡は熱心な一般サポーターが多くいらっしゃるわけで、その方々にだってこの記事が間違っていることはわかるでしょう。研究者が「こういう条件でこういう観測ができるのは世界で唯一」と言ったのを『世界で唯一』だけ取り出して使ってしまったのでしょうか?

先日の朝日新聞の記事の件でも触れましたが、『初めて』『唯一』がニュースとして価値を持つことはわかります。しかし今回の場合、その価値は捏造されたものでしかありません。この記事で意図的にその捏造が行われたのか、単にミスなのかはわかりませんが、ますます他の記事への信頼性が失われていきます。

このような単純なミスをなくすには、記事を一度取材元の人に確認してもらうことが一番だと思うのですが、どうもマスコミの方々は『検閲だ』といってそういうやり方はしたくないようです。「誰の目から見ても正しい記事」にすることがなぜ検閲なのでしょう? すくなくとも科学上の『初めて』『唯一』には、個人的な意見が入る余地はあまりありません。もちろん研究結果については解釈の違いが現れることがありますが、今回のものはその類のものではありません。『外部権力に屈しない』と言うプライドなのかもしれませんが、その結果間違った記事ができてしまうようでは、そのプライドは邪魔なものでしかないのではないでしょうか?

投稿者 平松正顕 : 23:48 | 報道にコメント

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コメント

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投稿者 monster cable : 2012年9月14日 12:38

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