2006年10月26日
今日のひので
国立天文台暦計算室によると、今日の日の出は東京で5時57分。だんだん日の出の時刻も遅くなってきて、秋も深まってきましたね。
という話ではなくて、太陽観測衛星ひので (HINODE, SOLAR-B) のお話。今年の9月23日にM-Vロケット7号機で打ち上げられた、日本で3番目の太陽観測衛星です。打ち上げから一ヶ月、ロケットから分離し、太陽電池パネルを広げ、軌道を整えるという観測に向けた様々な準備の中の大きなイベントとして、昨日10月25日、可視光望遠鏡の蓋が無事開いたとのことです。可視光望遠鏡の口径は50cm、可視光を観測する望遠鏡としては確かハッブル宇宙望遠鏡の2.4mに次ぐ第2位の大きさを持っています。
この衛星は日米英の共同プロジェクトで、NASA にも Solar-B のページがあります。NASAでは ひので の蓋展開と時を同じくして、太陽観測衛星 STEREO も打ち上げられています。
打ち上げ成功以降、順調にコトが進んでいるときはほとんど話題に上らせず、そのくせ不具合があると開発費用とともに大々的に報道して納税者意識を煽るマスコミは置いといて、ここでは国立天文台SOLAR-B(ひので)推進室のページをご紹介しましょう。
オリジナルの衛星のペーパークラフトもダウンロードできるアメニティのページもすばらしいのですが、オススメは本日のひので。なかなか一般には報道されないけれども着実な衛星運用の裏側が記されています。「・・・の機能は正常です。」が並ぶのはうれしいですね。専門的な用語もバシバシ入ってますが、わからないところは読み飛ばすということで。僕も全部はわかりません。
研究では、もちろん良い結果を出すことが大事なのですが、その結果を出すまでに必要な長い道のりはなかなか見ることができません。派手に思える人工衛星による宇宙の観測も、非常に地道な手順を一歩一歩踏んだ結果として、すばらしい観測成果が得られるわけです。華麗なハッブル宇宙望遠鏡も、今年のノーベル物理学賞となったCOBEも同じ。科学研究に興味を持ってもらうには、すばらしい結果を見せることも良いのですが、この研究の過程(=人間の営み)を見てもらうのがとても有効だと感じています。私たち天プラがこれまでやってきた数々のイベントでも、どんな人がどういう風に天文学に向かっているのか、ということにとても多くの方の関心が向いているのを実感してきました。科学コミュニケーションの業界で言うところの "Public Understanding of Research" というものでしょうか。やはり、研究者が出て行って生の声を伝えることは、とても重要なのです。
というわけで今週土曜日は、国立天文台三鷹キャンパスの特別公開日です。一度に見られる天文学者の数としては、JAXA宇宙科学研究本部の公開と並んで、日本最大の一般向けイベントでしょう。お近くの方はぜひ。
投稿者 平松正顕 : 23:00 | hiramatsu log
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コメント
今年は都合で行けませんでしたが、天文台の一般公開、子連れでも楽しいですよね。昨年は子どもと一緒に隕石を作りました(^^;
今年は託児ありということでしたが、今後もそうしていただければなと思います。託児ありでないと講演はほぼ不可能なので...。
投稿者 milktea : 2006年10月31日 12:11
milktea さん
コメントありがとうございます。公開日では各部署趣向を凝らしてますから、お子様でも楽しめますよね。田舎育ちの私としては、小さい頃からこういうところに来ることができる子供たちが羨ましくて仕方ありません。
託児の件、やはり需要はあるのですね。当日も赤ちゃんを連れた方が何人か託児室に入っていかれるのを見ました。来年も、ということ、担当の方に伝えておきます。
投稿者 平松正顕 : 2006年10月31日 18:38
逆に、お祝いメッセージ送らなきゃ、どんだけ叩かれるか…
投稿者 LV時計コピー : 2013年1月23日 12:53