2006年8月31日
save Pluto
収まったかと思ったらまた次の話題が。
『冥王星降格にちょっと待った』 by asahi.com
元ネタは nature のこの記事でしょうかね。
After the IUU: it's not over yet. こんなTシャツも。発起人が全部アメリカの人というのがまたマスコミの皆さんの興味を引きそうです。
記事中で『この定義では地球や木星も惑星でなくなることなどを批判。』と指摘されている部分は、今回議決された惑星の定義の3番目に関するものですね。
"A planet is a celestial body that (中略) has cleared the neighbourhood around its orbit."
日本語にすると、『その軌道の近くでは他の天体を掃き散らしてしまいそれだけが際だって目立つようになった天体』(国立天文台アストロトピックスより)
地球には、他の惑星・衛星の組と比べてかなり大きい「月」という衛星が回っています。木星の場合は、木星の軌道上のある特定の位置に「トロヤ群」と呼ばれる小惑星の一団が、木星と太陽の重力のバランスによって作られています。なので、今回の定義の中の "cleared"(掃き散らしてしまった) をどう解釈するかによって、無理すれば地球と木星、海王星を惑星から外すことができます。海王星の近くには冥王星その他の天体があるので cleared してない、と無理すれば言えなくも無い。
ただ、地球と月は、2つの天体の重心が完全に地球の中にあるということを考えれば明らかに月は地球の衛星だし、木星とトロヤ群小惑星では大きさが全然違うので、cleared と行ってしまっていいと思うんですよ。海王星と冥王星もサイズが全然違うので木星と同様に。というわけで今回の「異議」は、やはり冥王星を惑星として置いておきたい皆さんが、定義の結果を自分の希望する方向へ導こうとする行動であると言えましょう。
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あと、毎日新聞にいい記事が出ていたのでご紹介。
『太陽系:水金地火木土天海だけじゃない すっぽり「雲」が包み、無数の彗星グルグル』
こういうちょっとしたフォローは、科学面のある新聞の強みですね。太陽系が縮んだわけじゃない、もっと広がっているんだ、ということを図解つきで掲載しています。今回関連の報道の中では、今まさに変わりつつある太陽系の認識をもっとも良く現しているんじゃないでしょうか。
この図、実はひとつ間違いがあります。「オールトの雲からの彗星」の軌道、オールトの雲の中だけを回っていますが、彗星となるためには太陽の近くまで落ちてくる必要があるので、軌道の片側は太陽近傍に引いてほしかったですね。あ、ひょっとして太陽に落ちてくる前の軌道なのかな、だったらこれで正しいんですけど。
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