2006年9月11日
続・冥王星 科学技術館にて
まだ惑星の定義でちょっと引っ張ります。
先週土曜日、科学技術館での科学ライブショー"ユニバース"の"ゲスト"として、惑星の定義の話をしてきました。タイトルは『惑星騒動を振り返る - 広がる太陽系』。ユニバースでは2001年くらいから"アシスタント"としてお手伝いしてきたんですが、ゲストとしての登板は今回が初めてでした。
報道だけではなかなか伝わっていない、IAUとはどんなところで総会では何が行われていたか、惑星の定義原案と修正案の意味についてお話しました。前にも書きましたが、新聞やテレビでは天文学者が2週間プラハに集まって惑星の定義だけ決めていたような印象ですがそうではなくて、それぞれの研究分野の研究会に参加していたわけですね。そういう場面を、僕の研究のポスターの写真などをお見せしながら説明しました。あとは、冥王星は別に「かわいそう」ではない、という話。海王星以遠にある"dwarf planet"の典型例として、つまり天文学の進歩の象徴する存在として、これからも記憶されていくことでしょう。
お客さんの反応は、タイムリーな話題でもあったので、まずまずだったかと思います。ただ、ここのシアターの常として小さいお子さんも多いんですね。ゲストとして話しているときにも見に来てくださっている方の顔や雰囲気はよくわかるのですが、今回は少しお子さんたちには退屈だったかもしれません。ショー後のアンケートでも、『子供には難しかった』というコメントもありました。このコメントには実は二つあって、「本当に子供には難しくてつまらないものであった」というものと、「大人が勝手に思う子供目線では難しかった、あるいは大人でもつまらなかった」というものです。後者の場合、アンケートでは「子供には難しかった」というときでも実際に子供に尋ねてみると「楽しかった」という答えが返ってくるときもあります。子供は以外に適応力があるものです。しかし、今回は客席を見る限り、多くのお子さんは退屈していたかもしれません。ニュースに関心を持ってみていた大人の方には楽しんでいただけたと皆さんの表情から読み取れたので、それはよかったのですが。"ユニバース"のメインコンテンツである立体視できる太陽系シミュレーターとの連携を密にして、もっと『魅せる』ゲストコーナーにできれば良かったなと思います。
さて、右のグラフは、Livedoor のブログ検索による、『冥王星』を含むブログのエントリーの推移です。8月18日に最初の定義案が発表されて、8月24日に決議が行われて日本時間25日に大きく報道されました。それを見事に反映したグラフです。だいたい2週間くらいで皆さんこの話題を取り上げなくなる、という感じでしょうか。新聞も、最初のフィーバーが終わってから解説記事で詳しくこの問題を解説したり、関係者にきちんとインタビューをとっていたりして、話題になったテーマのフォローはさすがにしっかりとなされていました。この騒動で、本当の太陽系の姿が広まったのなら良かったと思います。
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