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2007年3月30日

一家に1枚 宇宙図 完成

今日まで東海大学で日本天文学会春季年会が開催されていました。ニュースにもなった ヒアデス星団の星(おうし座イプシロン星)に惑星が見つかった、など様々な研究成果が600件も発表されました。興味深い発表も多く、刺激をたくさん受けた3日間でした。

この600件の中で、天プラが半年間に渡って関わってきた企画の完成発表も行われました。文部科学省が配布する 『一家に1枚 宇宙図 2007』 がついに完成したのです!

毎年4月18日を含む1週間(2007年は4/16-23)は、科学技術週間なんだそうです。様々な研究機関の公開などが行われるのと同時に、一昨年から『一家に1枚』シリーズのポスターが配布されています。2005年は 『一家に1枚 周期表』、2006年は『一家に1枚 ヒトゲノムマップ』、そして2007年は 『一家に1枚 宇宙図』 です。宇宙図は20万枚印刷され、全国のすべての小中高校に1枚ずつ計4万枚、文科省のイベントで1万枚、そして全国の科学館/博物館などで15万枚が配布されます。pdf版で科学技術週間のウェブ上で配布していますので、4月第3週を待ちきれない方はダウンロードしてみてください。

文科省のウェブにあるプレス資料にあるとおり、天プラはその企画段階から宇宙図に関わってきました。企画が進み始めるとすぐ(2006/09/22)天プラMLでこの企画について紹介し、興味のある方を募って宇宙図のためのMLを立ち上げ、国立天文台天文情報センターや天文学会の教材委員会の皆さんと一緒に様々に議論を重ねてきました。

まずはそれぞれが思い描く宇宙図を持ち寄り、コンセプトを詰めていきました。時間的広がり、空間的広がり、人間と宇宙の関係、たくさんのきれいな天体写真。デザイナーに小阪淳さんを迎え、内容とデザインを一緒に絞り込んで行きました。最終的には、出てきた案のほとんどすべてを内包する方向に収束しました。小阪さんが提唱したコンセプト、『宇宙が生まれたから元素が生まれ、そこから人間が生まれ、そして科学が生まれた』にそれが現れています。

・・・と製作の途中を述べていくと一冊本が書けそうなくらい山あり谷ありだったので、ここではすべて紹介しきれません。なので、この後はこの宇宙図の狙いとかコンセプトとかについて。

パッと見たところ、文字がとても多いポスターです。そして書かれていることも、すぐには理解できない部分があることと思います。我々製作陣も、それはもちろん承知の上です。難しいけれどもその上で、「宇宙や科学についての会話」を通して、「宇宙と人間のつながり」を、「考えること自体の楽しみ」と一緒にじっくりと時間をかけて味わっていただきたいと個人的には思っています。

この宇宙図は小学校にも配られるわけですが、たとえ宇宙に興味ある小学生でも一度ですんなり読み込めるとは我々も思っていません。天文学をある程度知っている我々でさえ、初見ですべて理解するのは難しいでしょう。でも、ここには「ホンモノ」があると自負しています。できるだけ最新の研究成果に基づいた記述を心がけましたし、簡単にするために嘘をついたりごまかしたりしないことを基本路線としています。「ホンモノ」は、そんなに単純ではないんです。「難しいからつまらない」のではなくて、「難しいけど面白い」。易きに流れるのではなくて、ぜひ「考える楽しみ」を味わっていただきたいと思います。

また、一人でわからないときは周りの人と宇宙図をネタに話をして欲しい、というのも私の希望のひとつです。友達と、先生と、家族と、あるいは専門家と。会話することによって新たな発見もあるでしょう。場合によってはその場では正解に行き着かないかもしれません。でもきっと、そうやって色々考えてみることは何かしらの財産になると思うのです。数日、数週間、あるいは何年もたってから改めて宇宙図を見直してみると、きっと新たな発見があると思います。このポスターの基本コンセプトのひとつは「人間と宇宙のつながり」ですが、ひとことに「つながり」といっても、子どもは子どもなりに、そして色々経験した大人は大人なりに、ひとりひとり感じるものは(大げさに言ってしまえば)それまでの人生を反映して異なってくることでしょう。単に科学的な視点だけから宇宙を見るのではなくて、人間の頭の中にある色々な側面から宇宙と人間を考えてみる、あるいは見上げた夜空の向こうの世界と身の回りをつなげて考えてみる、そんなきっかけとしてこの宇宙図を使っていただければ、こんなに嬉しいことはありません。

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2007/03/30 追記
朝日新聞のウェブに記事が出ました。写真入りです。
「一家に1枚 宇宙図」作成 文科省
あとアストロアーツでも。
国立天文台と天プラなど、ポスター「一家に1枚 宇宙図 2007」を製作

投稿者 平松正顕 : 23:41 | 科学コミュニケーション

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コメント

科学技術週間サイエンスカフェ、18日に登場されますね。この日予約が取れれば行こうと思っています。お会いできるといいですね。

投稿者 コメ太 : 2007年4月6日 02:11

> コメ太さま
はい、18日のサイエンスカフェに出ます。ゲストは今回の宇宙図でアートディレクションを担当された小阪さんです。小阪さんもなかなか面白い方ですので、お楽しみに。

投稿者 平松正顕 : 2007年4月6日 14:17

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