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2007年8月13日

問題と答え

写真は、先週滞在していた国立天文台野辺山の太陽電波観測所電波ヘリオグラフです。直径80cmのパラボラがT字型に84台ならんでいるのですが、これはそのT字の交差部分から北側を撮ったものです。みんなそろって太陽の方を向いていてなかなか面白い写真になりました。
(本文にはあまり関係ないですが、文章ばかりで読む気が失せる感じだったので追加してみました。。)

H18年度科学技術振興調整費「効果的な理解増進事業の実施のための手法開発に関する調査」成果報告
K_Tachibanaさんの Science Communication blog で見つけた資料、いつか読もうと思って備忘録代わりに。といってもなかなか読む時間なんて取れないんだろうケド。いくつかの事例を取り上げて、効果的な手法とか簡単なチェックポイントとかまとめてあるっぽいです。(しかし、報告書が章ごとに分割されてpdfにされているのはちょっと読みにくいですね。一括ダウンロードがあればいいんですが。)マニュアル化することには強く反対なさる方もいらっしゃいますが、ひとつのガイドラインとしては有用なんじゃないでしょうか。もちろん他所でうまくいったことが自分のところでうまくいくかどうかはわかりませんから、各自アレンジが求められるのでしょう。

天プラの活動もいろんな面から評価を必要としていると思うのですが、なかなか自分たちではまとめる時間もなくその手法もわからないものです。天プラつながりで知り合いになったある方が調査対象として選んでくださっているので、それを待ちたいと思います。

また、現状のサイエンスカフェなどが抱える問題点として「来場者の固定化」が挙げられています。熱心な方は毎回いらっしゃって、そんな常連さんも増えてきて、新しい方が入る余地がなくなる、というわけです。確かに、定員の決まったイベントなどでは悩みどころになってしまいそうです。ただ、科学を核にコミュニティができるというのはこれまであまり無かったかもしれないとても貴重な機会ですので、なんとか共存を図りたいものです。もう少しハイレベル・コミュニティが力をつけて、自分たちでイベント開いて科学者を引っ張ってきて話を聞くとか、そういうところまで育っていったら凄いと思うんですけど、そこまでいくにはもう少し時間が必要でしょうかね。いずれにしても、ハイレベル層向けも充実させて、もっと多様な科学イベントが様々な層をターゲットに展開されれば事情は変わってくるでしょう。あとは、昨今の『科学コミュニケーションバブル』到来前から地道に活動されてきたグループも全国にたくさんあるわけで、そのあたりのノウハウの共有だとか、新興勢力との協働なんかもこれからですね。


独法改革 不要な事業の廃止を断行せよ
ご存知のように僕が普段研究生活を送っている国立天文台も、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 の一組織なわけですが、その組織が真に不可欠かどうかを判断する基準として上げられた「廃止が国民生活・社会経済に著しい悪影響を及ぼすか」に対して、天文台にいる人間はどう答えることができるでしょうか。とりあえず国立天文台が出している暦要綱がなくなると春分秋分の日が決められなくなるわけですが、もちろんもっと本質的な部分で。僕はまだ多くの人を説得できるような答えは持っていません。緑資源機構と同じ基準がすぐさま研究機関に適用されるとは思いませんが、答えは用意しておかなければいけないだろう、と思った社説でした。

投稿者 平松正顕 : 23:49 | hiramatsu log

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独立行政法人に関する整理合理化計画

政府は10日午前の閣議で、独立行政法人(独法)に関する整理合理化計画の基本方針を決定した。基本方針は現在101ある独法について廃止基準を例示し、「無駄な独法」の全廃を目指す内容となっている。12月に...

SWAT BLOG : 2007年8月15日 13:55

コメント

「廃止が国民生活・社会経済に著しい悪影響を及ぼすか」という基準で簡単に決めてしまっていいんでしょうか。実用的かどうかで判断してしまったら、ほとんどの科学の研究なんて成り立たないのでは。小柴さんも、自身の研究が何かの役に立つかと聞かれたとき、何の役にも立たないと言い切られたと聞きます。それよりも、見直すべき無駄な支出は他にあると思います。

ところで、Tachibanaさんのブログで、フリーぺーパー「filament」01号が紹介されていましたが、そこに高梨さんが寄稿されているのを発見しました。高梨日記も楽しみにしているのですが、一向に更新される気配がありませんね。お忙しいんでしょうか。

投稿者 コメ太 : 2007年8月14日 12:18

たぶん『実用的』でなくとも『廃止が悪影響を及ぼす』ものが存在すると思うのです。基礎科学は明日の生活をすぐに豊かにはしないかもしれないですが、長期的視点で見れば、金銭面とは違うレベルで人類を豊かにするという意味で『役に立つ』し、『廃止は悪影響を及ぼす』と。小柴さんにも、ニュートリノの研究によって宇宙の中の生命として一歩前に踏み出すことが可能になるとか、人類が人類であるための知的好奇心を満足させるとか言う面で『役に立つ』とコメントしていただきたいところ。明日すぐに役立つというよりはもう少し高所からの視点でもって、「廃止は悪影響を及ぼす」というのを自信を持って大きな声で言えるようになっておきたい、というのが僕の気持ちです。


で、高梨日誌ですが、マメに日誌を書くよりはもう少し高所からの視点でもって天プラを前進させることに取り組んでいる結果だと思われます。
まぁ実際みんな忙しいわけですが。

投稿者 平松正顕 : 2007年8月14日 17:24

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