2007年9月27日
JST廃止!?
なんかものすごい記事を見つけてしまいました。Yahoo Newsより転載。
2独法廃止・民営化3・統合方針11 行革相「見直し全力で」
9月27日8時0分配信 産経新聞
政府は26日、独立行政法人(独法)を整理合理化する一環として、科学技術振興機構(所管・文部科学省)、労働政策研究・研修機構(厚生労働省)を廃止し、日本貿易保険(経済産業省)や造幣局(財務省)、国立印刷局(同)を民営化する検討に入った。主要事業が類似している11法人も統合する方針。整理合理化対象の独法の選定をさらに進めていく。
科学技術振興機構(JST)といえば、様々な競争的研究資金によって日本の科学技術研究を強力に推し進めているし、お台場の日本科学未来館の運営を初めとする様々な事業も行っている機関ですが、それを廃止とは。しかも理由がわけわかりません。
廃止対象とした2法人は、国からの財政支援が予算全体の9割を超えているにもかかわらず、給与水準が国家公務員よりも高く「存続させる意味がない」(政府関係者)と指摘されていた。
なんで給与水準が公務員より高いと「存続させる意味がない」になるんでしょうか?存続させるかどうかは、その機関が何をやっているかで判断すべきだと思うのですが。それとも、給料高い機関はつぶしてJSTがやってることは全部文科省直轄にするということなのでしょうか? もしJSTがやってることが完全におとりつぶしになったら、日本の科学技術研究・あるいは科学技術の普及活動の何割かは途端に立ち行かなくなったりするんじゃないかと思います。
『官僚側の抵抗ぶりが浮き彫りに』とかいうのは、マスコミが大好きな対決構図なだけな気もします。冥王星騒動のときも、「自国民が発見した冥王星を惑星に残しておきたいアメリカ vs その他」という構図がでっち上げられていたりしましたが、世の中そんなに単純にふたつに割りきれないでしょうに。対決構図にするとわかりやすくてあんまり考えなくても良くなってしまうわけですが、もう少しちゃんと考えないと脳が錆びます。
産経以外で報じているところは今のところなさそうなので、政府の正式見解ではないのでしょう。流動的な状態の情報が断片的に伝わって来る途中で正確さを失っている可能性があるかもしれません。現状ではなんともよくわからないニュースですが、今後に注目です。
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コメント
私の回りではガセっぽいというのが専らの見解です。
JSTとかJAXAとかめっさお金持ってますもんね。
投稿者 コメ太 : 2007年9月29日 07:08
まだあまり研究費を応募する立場になったことがないので詳細はわかっていませんが、個人的な理解だとJSTとJSPS(日本学術振興会:学振)が日本で競争的研究資金を出しているツートップなはずです。その一角をきれいさっぱりなくしてしまうというのはさすがにないだろうと僕も思います。そもそもそういう組織に「黒字運営」を求めるのはお門違いだと思いますし、だからこそ国がやっているわけで。
火のないところに煙が立ってしまったのかもしれませんが、実際何らかの手が入ることはあるのかもしれません。要注目ですね。
投稿者 平松正顕 : 2007年9月29日 16:10
ただいま、国や地方のあらゆる組織や事業が「コスト」で測られています。
独立行政法人というのを作った理由は、国直轄だとコストの圧縮がしにくいので(特に人件費、首切りできませんから)、国の枠を外して、公的な仕事をやらせようとこういうわけですね。
だから、コストダウンになっているかどうかが、非常に重要なのです。個々の人の賃金はともかく、やすい賃金でよい部分はやすく雇って、「平均」賃金などのコストを圧縮できないのでは「意味がない」となるのは無理からぬことなのです。
今回いわれているのは(本当だとすれば)、そうした論理が背景にあると思われます。
また今回は、(ゼロ回答で頭にきている)渡辺喜美大臣のメンツもある話ですから(改革担当大臣がなんの改革もしないわけにはいかない)、結構どんどん進んでしまうかもしれません。
ただねえ、ぼくなんかはJSTの事業のメインのところはわからないけれども、端っこのほうでいろいろおりてくる話をみるたび、現場とか国民とマッチしてないなあと思うことがよくあるんですよ。正直、国民と乖離しているところもあると思いますよ。だって、この件、理系研究者以外は論陣がぜんぜん見あたらないもの。
投稿者 渡部義弥 : 2007年9月30日 18:44