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2008年11月23日

南の星

先日、夜中にぼーっと窓の外を見ていたら、向かいのマンション2棟の間に光る点がひとつありました。飛行機かな、と思ったのですが全然動かないので星らしい。視線を少し上にあげるとおおいぬ座。ん、これはひょっとして・・と思ってステラナビゲータを立ち上げて確認したら、カノープスでした。日本の大部分の地域からは南の水平線上に少ししか昇らず、その見難さから「見ると長生きできる」という言い伝えまでできるほどの星です。が、台湾では特に苦労なく見えました。南にいるんだなぁと実感。もちろん南半球には観測で何度も行ってるのでそっちで見たことはあったのですが、北半球でカノープス見たのは初めてかな。

さて先日、このブログで取り上げた太陽系外惑星直接撮像の話。これに続いてもう一つニュースが入ってきました。ヨーロッパ南天天文台(ESO)がチリに設置している望遠鏡VLTでの成果です。プレスリリースはこちら

惑星かもしれないものが写された中心の星は、がか座ベータ星。「がか」といっても画家ではなく画架です。キャンバスを載せる台、イーゼルともいいますね。とはいっても星の並びから画架なんて想像できない、典型的な近代星座のひとつです。

このベータ星、先日取り上げたフォーマルハウトと同じように、星のまわりを塵でできた環が取り巻いていることが知られていました。フォーマルハウトの場合はハッブルの画像を見ても環が見えますが、がか座ベータ星はほぼ真横から見ている状態なので、星の両側に円盤状のものが突き出している、というふうに見えます。今回研究チームは、先日の惑星直接撮影のニュースで発見されたのと同じように中心の星を隠すコロナグラフという技術を使って撮影された画像を解析し、怪しい「点」を見つけたわけです。もしこの点が本当にがか座ベータ星をまわっている惑星だとしたら、中心星と惑星までの距離は8天文単位(太陽地球間距離の8倍)。太陽系で言うと土星くらいの場所を回っていることになります。ハッブル宇宙望遠鏡で発見された惑星が100天文単位だったことを考えると非常に中心星に近いですね。

とはいえ、この研究チームもまだこれが惑星であると結論を出したわけではありません。解析途中で生じる偽の光点でないことは確認できているようですが、遠くの星や近くの星がベータ星とたまたま並んで見えているだけかもしれません。本当に惑星であるかどうかを確認するには、まだまだ観測と調査が必要です。

というところで南の星の話題に戻るのですが、がか座ベータ星も南の星なので、たとえばすばる望遠鏡などハワイにある望遠鏡からの観測は大変難しいと思います。空には昇っているのですが、高度が大変低いのです。高度が低いということは、地球の大気を斜めに横切って星を見ていることになるので、大気の揺らぎの影響を受けやすく精密観測が難しいというわけです。もちろん南半球にもいくつか望遠鏡がありますので、これらでの追加観測ということになるのでしょうね。

投稿者 平松正顕 : 18:01 | hiramatsu log

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コメント

実は私おおいぬ座探せません...

投稿者 ゆん : 2008年11月23日 21:43

オリオン座の左下にある明るい星がシリウス、そこから左下あたりがおおいぬ座です。「左下」って観測天文学者にあるまじき説明の仕方ですけど 笑。

投稿者 平松正顕 : 2008年11月24日 21:22

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