2008年12月19日
ALMAアンテナ第1号
ヨーロッパ南天天文台(ESO)から、チリのアタカマ高地に建設中の電波望遠鏡ALMAにおけるアンテナ第1号機についてのプレスリリースが届きました。
このブログでも何度か取り上げていますが、ALMAは東アジア(日本+台湾)、北米、ヨーロッパが協力してアンデス山脈の標高5000m地点に建設している電波望遠鏡です。2003年に起工式が行われた後現在も建設が続いています。ALMAは、複数のパラボラアンテナを結合させてひとつの巨大な電波望遠鏡として機能させる、電波干渉計というシステムです。
ALMAに必要な様々なコンポーネント(アンテナ、受信機、専用コンピュータなど)は、日本とアメリカとヨーロッパがそれぞれ各自の担当分を作り、厳しい仕様が満たされていることが確認されてからJoint ALMA Observatory (JAO)に引き渡されます。今回のニュースは、1台のアンテナがこれをクリアしJAOに引き渡されたというものです。これで公式に「ALMAのアンテナ」が誕生したことになります。
このアンテナ、三菱電機が製作した日本担当分です。ALMAのすべてのアンテナは、標高2900mの山麓施設周辺で組み立てと試験が行われます。酸素の薄い標高5000mの望遠鏡設置サイトでアンテナを組み上げるのは大変なので、この山麓施設で準備を整えてから設置サイトに運ぶ、というスタイルをとっているのです。ALMAヨーロッパのウェブサイトを見ると、今山麓施設で準備中のアンテナは12台。今回JAOに受理された1台を含めて日本担当分が4台、アメリカ担当分が8台ですかね。ここにあるアンテナがこれから続々と動作試験などを経てJAOに引き渡されていき、JAOはそのアンテナとこれから運ばれてくる受信機などを使って観測に向けたさらなる動作試験を続けていくわけです。プレスリリース中にも書いてありますが、今回のJAO引き渡し第1号は、ALMAにとってとても重要なマイルストーンです。
ESOのプレスリリースの画像ページには、アンテナの画像と一緒にビデオpodcast、ALMA台長とALMAヨーロッパのプロジェクトマネージャーのインタビュー動画も載っています。このあたりしっかり広報素材を用意してくるあたりがヨーロッパのすごさですね。ALMA日本グループからも、日本のアンテナがトランスポーターに載って運ばれる様子の動画が公開されています。このムカデみたいな車に載って、アンテナは標高5000mまで運ばれるのです。
2003年にASTE(プロフィール写真に使っている電波望遠鏡、ALMAサイト近くにあります)での観測のためにALMAサイトに行った時には、アンテナの設置場所を示す木の札が立っているだけだったのです。まだ山麓施設での動作試験がたくさん残っているわけですが、あの場所にアンテナが立ち並ぶ日がだんだん近づいてきていますね。
【2008.12.24追記】
国立天文台のプレスリリースも出ました → Joint ALMA Observatoryへの初アンテナ引渡し。
英語ですが、台長、プロジェクトマネージャ、チリ事務所長のインタビューもあります。
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コメント
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