2008年4月14日
台湾ALMA
先日のエントリーで清華大学のことについて書きましたが、今回は私が雇われている台湾のALMAプロジェクトについてご紹介しましょう。
ALMAの詳細についてはWikipediaの記述に譲るとして(こういうときに国立天文台のページがもう少ししっかりしていれば…)概略を述べると、南米チリの標高5000mの砂漠地帯に合計80台のパラボラアンテナを展開し、これまでの電波望遠鏡と比べて100倍暗いものまで、100倍細かいところまで描き出せるという電波天文台計画です。日本と台湾、北米、ヨーロッパとチリの国際協力により、2012年の完成を目指して目下建設が進んでいます。
一国で作るには規模が大きすぎるので、各国がお金と技術を出し合って建設することになったわけですが、そこに台湾も参加しています。地元の新聞にもちょっと前に記事が出ています。漢字なのでなんとなく意味がつかめると思いますが、世界最大級の天文台計画に台湾も参加しますよ、という記事です。台湾はすでにアメリカのハーバード・スミソニアン天体物理学研究センターと共同で、ハワイ・マウナケア山頂のSMA (Submillimeter Array、漢字で書くと次毫米波陣列望遠鏡)を運営しています。ALMAはSMAを大規模にしたもの、と言えるので、SMAでの経験を活かしてALMAにも参加するのです。
地球には重力があるので、ある程度以上大きな望遠鏡を作るのはとても大変です。そこで、小さな望遠鏡を並べ、それら複数の望遠鏡が得たデータをコンピュータ上でつなぎ合わせ、一つの巨大な望遠鏡として動作させるという仕組みが考案されました。これを干渉計と呼びます。ひとつの望遠鏡を使った観測に比べていろいろと複雑で難しい面もあります。実は私はこの干渉計を使った観測をした経験がないのですが、野辺山にあるミリ波干渉計は運用を終えてしまいました。来るべきALMA時代を前に干渉計の経験を積んでおかねば!と思ったので、SMAも持っている台湾のグループに参加したというわけです。これまでに取りためたデータもたくさんあるということなので、勉強のし甲斐もあるというものです。
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