2009年12月2日
宇宙とヒトをつなぐもの
12月になってしまいました。世界天文年2009もあとひと月。早いですねぇ。
明けて2010年1月17日に、下記のようなイベントが開催されます。
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科学と芸術の集い『宇宙とヒトをつなぐもの』
−古代〜最新の宇宙図と南島の神歌・古謡−
2010年1月17日(日) 16:00開場 17:00開演
会場:日経ホール 入場無料 (自由席) 事前申込み制 (先着順580席)
[第一部:最新の宇宙の姿] 講演
小阪淳(美術家)、小久保英一郎(天文学者)
[第二部:古代の宇宙観] 講演
後藤 明(文化人類学者、考古学者)
[第三部:神歌・古謡のコンサート]
UA(歌手)、ハーニーズ佐良浜(from 沖縄伊良部島)
ナビゲート・ナレーション
原田知世(女優・歌手)
主催:独立行政法人科学技術振興機構(JST)
企画制作:エピファニーワークス
後援:文部科学省、国立天文台、東京大学 科学技術インタープリター養成プログラム
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と宣伝しようと思っていたらなんと! もう申し込みが定員に達していました。告知開始・ウェブサイトオープンからわずか5日という驚きのスピードで席が埋まったようです。遅くなってしまって申し訳ないです。
このイベントのベースは、僕たち天プラのメンバーも深くかかわった文部科学省発行の「一家に1枚宇宙図2007」です。ガリレオが望遠鏡で宇宙を初めてのぞいてから400年の間に人類が解き明かしたこの宇宙の成り立ちと仕組み、そして私たち人間と宇宙との関係を1枚の図にするというたいへんチャレンジングな企画でした。一瞥して全部わかってしまうようなものではなくもっと深い思索へといざなうものにしたいという思いがありましたので、正直言ってかなり難しいものになったと思います。「難解すぎる」というお言葉もたくさんいただきました。今回、このような形で一家に1枚宇宙図をも含んだ形で改めてイベントが開催されるというのは、たいへんありがたいことだと思います。
今回のイベント、いくつかのニュースサイトに出たとは言っても告知開始から5日で580名の定員が埋まるということになりました。天文系のウェブページではあまり告知を見かけなかったので、申し込んだ方の多くはUAさんのファンの方とか、音楽系の方なのかもしれません。そういう方にも是非、科学の視点で見る宇宙の姿を知り、それを楽しんでもらえるきっかけになればいいな、と思います。
科学を文化に という言葉はいろいろなところで耳にするのですが、どのような状態になればそれが実現されたと言えるのか、というのは大変難しい問題です。今年のサイエンスアゴラでもこのことに関わるシンポジウムが開催されたと聞いています。僕としては、そのひとつの答えが今回のようなイベントなんじゃないかな、と思っています。現代科学の視点で現代のヒトが見ている宇宙、現代以前の人々がそれぞれの時代の宇宙観で見て来た宇宙、そして科学ではなく芸術の視点でとらえた宇宙。これらが混然一体となって次の時代の宇宙観を作っていく。これが、科学が文化になる、ということであり、事業仕分け以来話題になっている基礎科学の「リターン」であると思うのです。
科学の営みは、小さな発見の積み重ねです。僕が研究しているテーマも、先日投稿した論文も、世界を理解するという大きな枠組みから見ればごく小さなものに過ぎません。そして、個々の研究に没頭していると大きなストーリーを見逃しがちになるのも事実。科学は、積み重なった小さな発見に、時としてあらわれる天才的な研究者がもたらす大きなジャンプが組み合わさって、ここまで進歩してきました。宇宙の理解という面での科学の進歩を概観し、そして科学以外の方面からの宇宙の捉え方も一緒に楽しむことができる、このイベントはそんな機会を与えてくれるものだと思います。
このイベントには、天プラでも展示物などで協力します。先に書きましたように、今回は既に定員に達してしまっているということですのでここで皆さんに参加を呼び掛けることができないのが申し訳ないのですが、同様にいろんな視点で宇宙を楽しめるイベントがこれからも開催されていくといいな、と思っています。
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コメント
キャンセル待ちが既に450名を超えているそうです.
投稿者 ふ : 2009年12月9日 00:45
つまり、申し込み全体で1000人越えってことか。
それはすごい。
投稿者 平松正顕 : 2009年12月9日 00:54
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
投稿者 株の銘柄 : 2012年5月27日 15:19