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2009年5月5日

3年ぶりの観測@野辺山

先のエントリに書きましたように、5月3日から国立天文台野辺山宇宙電波観測所に滞在中です。45m望遠鏡を使うのは2006年4月以来3年ぶり。今シーズンから加わった新しい受信機も、昔から使われてる観測装置も使っています。

観測は毎日午前0時(日本時間)から5時間。でも、毎日およそ4分ずつ開始時刻が早くなります。それは、地球が太陽の周りをまわっているので、同じ天体が昇ってくる時間が1日経つごとに約4分ずつ早くなるからです。当然ながら観測天文学は天体の運行にとても深くかかわっているので、観測時間の割り当てにはこのような特殊な時間(地方恒星時:LST)を使っているわけです。

また、電波観測は昼夜関係なく、観測できることも特徴のひとつですね。昼間星が見えないのは、明るい太陽の光が大気中で散乱されて空全体が明るくなってしまうためですが、電波の場合はそのような影響はあまりありません。太陽は強力な電波を出していますが、可視光より波長の長い電波は大気中で散乱されにくいので、電波で見ると昼間でも空は光っていないのです。ただし、ミリ波・サブミリ波と言われるような波長の短い電波では大気そのものが光っているので、ちょっと状況が違います。また、電波観測は曇りの日や雨の日でもできます。悪天候の日でも衛星放送が見られるように、電波は雲を突き抜けてくるからですね。ただしこれも波長に依存していて、波長の長い電波では悪天候の影響は受けにくいのですが、波長の短い電波だと空気中の水蒸気に吸収されてしまうので悪天候時の観測は難しくなります。

今日は雨です。今朝まではさほど天気は悪くなかったので波長の短い電波の観測をしてましたが、今日は天気が悪そうなので、水蒸気の影響を受けない波長の長いほうの電波を観測することになります。

投稿者 平松正顕 : 18:19 | 海外出張日記

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