2009年7月16日
エンデバー打ち上げ!
延期されていたスペースシャトルエンデバー、今朝無事に打ち上げられましたね。4カ月を宇宙で過ごした若田さんのお迎えの便であるとともに、国際宇宙ステーション日本モジュール「きぼう」を完成させる2J/Aミッションです。ミッションパッチにもJAXAのロゴの"A"をかたどった星がついてます。
今回のミッションで宇宙ステーションに据え付けられるのは、船外実験プラットフォームと船外パレット。宇宙ステーションの中でも日本のモジュールにしかない、宇宙空間にさらされた状態で様々な実験をするための設備です。ここに取り付けられる装置の中に、ひとつ天文観測用の装置があります。全天X線観測装置 MAXI。
X線は大気に吸収されてしまうので、宇宙から来るX線を観測するには宇宙に行くしかありません。稼働中のX線望遠鏡としてはアメリカが打ち上げたチャンドラ、ヨーロッパのXMMニュートン、日本の「すざく」がありますが、これらは一度の観測ではある特定の天体のまわりをクローズアップして調べる、文字通り「望遠鏡」です。一方MAXIは、一度に広い範囲を観測し、しかも宇宙ステーションと一緒に地球を回ることによって全天をほぼ90分に一度観測ができるというものです。
最近このような「繰り返し全天観測」計画が増えています。MAXIはX線ですが、光学望遠鏡としてもハワイのPANSTARRS(パンスターズ)やチリのLSSTなどが、数日から1週間に一度のペースで同じ天域を観測する計画になっています。これまであまり行われてこなかった種類の観測が進むと、当然ながらこれまで知られていなかった種類の天体が見つかります。全天を定期に観測することで、これまでは見過ごされていたような変光天体や移動天体を見つけることができます。とくにMAXIは90分で地球を一周するわけですから、90分一コマの動画のようなものが撮れるわけですね。なので、非常に早い周期で変光する天体まで検出することができるでしょう。MAXIは個々の天体のきれいな絵を撮るのは得意ではないですが、MAXIの観測結果を基にして3つの宇宙望遠鏡が様々な観測を展開していくことでしょう。赤外線観測衛星あかりが作りつつある赤外線宇宙地図もそうですが、今後のたくさんの研究の基盤になる研究はとても大事です。
宇宙ステーションの建設自体も今回のエンデバー打ち上げも延期が何度もありましたが、ようやく装置が宇宙に行けて関係の皆さんもきっとホッとしていらっしゃることでしょう。まだまだ本格的な観測に向けた様々な調整や準備があると思いますが、よい成果が出てくることを期待します。
投稿者 平松正顕 : 14:35 | hiramatsu log
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コメント
おはようございます。
エンデバー号は、打ち上げが何度も延期されていたので、無事打ち上げ成功し、なんだかホッとしました。
宇宙飛行士達は、打ち上げには相当な覚悟で臨んでいらっしゃるンだと思います。10分前に中止された日もあったので、クルーは大変だったのでは・・・皆さん、強い気持ちを持っていらっしゃるんですね。
MAXIの詳しい情報をありがとうございます。
もう一つ、新しい宇宙への目を持ったんですね。
いろんな発見がありそうで、楽しみですね。
秋田市にようやく宇宙少年団分団が結成されることになりました。
昨日説明会に出席しました。なんだか嬉しいです。
平松先生は、入団されたことがありますか?
投稿者 sopuranovoce : 2009年7月19日 05:45
直前での打ち上げ延期を経験する乗組員も、帰還のシャトルが来ないまま宇宙滞在が1か月延びた若田さんも、並大抵の気持ちの強さではないですよね。若田さんには本当にお疲れさまでした、と申し上げたい気分です。
宇宙少年団、その存在自体を大学生になってから知ったのでかかわったことはないのです。ちょっと調べてみたら、なんと故郷の岡山県にはひとつも分団がない!ちょっと残念ですね。
投稿者 平松正顕 : 2009年7月19日 17:04
こんばんは
岡山県には、まだ宇宙少年団分団が無いんですか!
少し残念ですね。
全国では120箇所以上あるそうです。
秋田分団は、秋田大学の「ものつくり創造センター」の土岐教授が中心になって、立ち上げています。
缶サット全国大会や秋田での簡単なロケット作りの指導などをなさっている方です。
私もボランティア教育リーダーとして、参加させていただこうと思います。
明後日は、待望の皆既日食ですね。
平松先生のいらっしゃる台湾は、皆既日食になりますか?
天文コミュのメンバーも、上海やトカラ列島、種子島等に出発しました。
投稿者 sopuranovoce : 2009年7月20日 23:40