2010年11月27日
プラネタリウム×プラネタリウム
研究会「星形成ワークショップ」のために3泊4日で日本に帰国し、きのう台湾に戻ってきました。当然ながら東京は台北より寒かったですが、あのくらいの寒さならむしろ心地よいくらいで、天気が悪くてぬるい台北の冬よりは好きですね。
研究会の前日に東京着、終わった翌日に東京発というあまり余裕のない日程でしたが、表題のとおりプラネタリウムを2件ハシゴしてきました。
ひとつめは、駒場祭に出展された東大地文研天文部のプラネタリウム。僕もこの天文部のOBで、10年前(!!)にプラネタリウムを作ったものです。それまでピンホール式だった恒星投影機からレンズを使った方式に変えるという大きなジャンプに挑んだわけですが、さすがに壁は高く、初年度は満足に投影できないまま(辛うじて1度だけ投影したような記憶)駒場祭が終わってしまいました。その翌年、後輩たちが頑張ってくれて完成し、今年はレンズ式になって(僕らの年を0年目とするならば)10年目。駒場祭3日目は13時半ごろ整理券配布が終了したそうで、僕が羽田から駆け付けた15時ごろには最終上映が始まるころでした。その後、部内向け投影で星空を見せてもらいましたが、安定した星空で円熟の域といってもいいかもしれません。いいものを見せてくれた後輩の皆さん、ありがとう、そしてお疲れさまでした。駒祭後のいわゆる「社会復帰」もしっかりね。
その後研究会に参加し、50分の発表もこなし、有益なコメントと今後の協力の糸口も作れたあと、帰国前に六本木へ。
六本木ヒルズでは、天プラとして以前から「六本木天文クラブ」の運営をお手伝いしていましたが、今回は森アーツセンターで開催されるイベント「スカイプラネタリウム」に協力しています(僕は少しだけの協力ですが、天プラの他のメンバーはかなりガッチリ協力してます。右上のポスターにも「天文学普及プロジェクト 天プラ」の文字がしっかり)。メガスター製作で有名な大平貴之氏が総合プロデュースをされているこの企画。恒星投影機メガスターとデジタル宇宙描画エンジンUNIVIEW、そしてasahi.comや読売オンラインでも記事になっている「立体プラネタリウム」から、私たちの宇宙の中での立ち位置を感じ取ることのできる企画です。24日は初日でしたが、平日ということであまり人出はないものかと思ってました。ところがあとからあとから人が流れてきて、思ったより盛況。大平さんによると初日の観覧者は2500人を超えたとか。初日とはいえ平日でこれで、「星」のイメージが街にあふれる冬はこれからで、開催は2月までの長丁場となると総観覧者数も結構大きな数字になりそうです。多くの方に楽しんでいただけるといいなぁと思います。
ネタばれになるとちょっとよくないかもしれないのであまり詳しくレポートは書きませんが(というか、ぜひご自分の目で見ていただきたい)、僕はメガスター部屋が気に入りました。人の流れは途切れないもののそんなに混雑もしてない空間で、メガスターの映し出す素晴らしい星空をゆっくりと存分に堪能できました。「マゼラン雲の隣にあるのは球状星団47 Tuc!」とか「銀河中心方向の黒い筋はパイプ星雲!」とかマニアックな感動をするもよし、びっしりと光の点で埋め尽くされる壁面に思わず近寄って手を伸ばしてしまうもよし、ひととおり星座を探した後でゆっくり動いていく星空をぼーっと眺めるもよし、いろんな楽しみ方で時間を過ごせる空間でした。これまでメガスターは一般向け初公開だった青山、旧五島プラネタリウム、日本科学未来館などで何度か見てきましたが、これほどじっくり堪能できたのは今回が初めてでした。とてもよかった。
思えば10年前、まだメガスターが一般公開されていなかった頃、無謀にもレンズ式恒星投影機の開発に挑んだ僕は、おそれおおくも直接大平さんにメールでいくつか質問を送ったのでした。もう何を聞いたか忘れてしまいましたが、それから時は流れて大平さんプロデュースのスカイプラネタリウムにわずかながら協力でき、それと並行して天文部の後輩たちが頑張って完成させてくれた駒場祭プラネタリウムを見ることもできたのは、巡り巡る縁を感じる日本滞在でした。
最後にもう一度、スカイプラネタリウム、本当におススメです。ぜひ。
投稿者 平松正顕 : 23:19 | 海外出張日記 | コメント (24) | トラックバック (0) |