2006年5月14日

Asahiyama

先ほど(?)まで、フジテレビ土曜プレミアム特別企画・土曜スペシャル
『奇跡の動物園 〜旭山動物園物語〜』を見ていました。

旭山動物園、という名前は皆さんも聞いたことがあるかもしれません。
日本最北の動物園で、来園者数も少なく廃園の危機に瀕していたにも関わらず、
飼育係たちのアイデアで、上野動物園の来園者数を抜いて、日本一になった動物園です。

その旭山動物園の苦難と再生の物語をドラマ化したわけですが、
久しぶりにテレビに見入ってしまいました。

今まで、旭山動物園という名前は知っていても、どんな動物園なのか、まったくもって知りませんでした(苦笑)
今度、北海道に行ったときはぜひ行ってみたいですね。


さて、ここからが本題(笑)

ドラマの冒頭で、山口智充演じる飼育係兼獣医、坂内(主人公)の台詞に、
「なんで動物を檻の中に閉じこめるんですか!」
というのがあります。

これは、動物園の永遠の課題ではないでしょうか。

僕は、博物館学芸員の資格を取りましたから、当然、博物館学の授業で動物園についても触れました。
「命を見せる博物館」
これが動物園です。
「生きている」生命を展示する博物館は、動物園・水族館・植物園とありますが、
では、いったい、「何」を見せるのか?

「そんなの、動物に決まってるじゃない。」と言われるかもしれませんが、
もし、動物の「姿形」だけなら、剥製でいいはずです。
実際、国立科学博物館(東京)神奈川県立生命の星・地球博物館(神奈川)には、
たくさんの動物の剥製標本が展示してあり、その姿は圧巻です。

それではなぜ動物園が必要なのか?
それは「生きている」動物を見せるため、ですね。
しかも、動物それぞれの生態・行動を見せるためです。
いわゆる、「野生の姿」というやつです。

では、動物園にいる動物は「野生」でしょうか?

ドラマ中にも描かれていますが、
まったく動かず、寝てばっかりいる動物たち。
ぼーっとして、まるで元気がない動物たち。
まるで徹夜観測あけの僕のようですが(笑)、こんなのを見ていたのでは、動物園に来ても面白くありません。
動物園には「動いている」動物を見に来るのですから。

この「動いていない」には 2 種類あります。
1 つは、ライオンやチーターなどのネコ科の動物たち。
彼らは、野生でも寝てばっかりです。
基本的には狩猟をするとき以外は(特に雄は)、ダレダレです。
でも、「それが本来の姿なんですよ」と来園者に説明するだけでは、お客さんは満足しません。
ただ寝ているだけの姿でも、「見せ方」を工夫する必要があります。

もう 1 つは、狭い、環境の異なる空間に閉じこめられているために、退屈(という表現が正しいかはわかりませんが)してしまうケース。
これが、坂内が口にした言葉に当たりますね。
そりゃ、そうでしょう。
サバンナやジャングルに檻はありませんから。
しかも、餌は定時になればでてくる。
動物も学習します。
餌をとる必要がないと知れば、動きません。
人間と異なり、動物の多くは、一日の大半を餌をとるために使うのですから。
加えて、自由に動き回ることができない。

これらを解決するにはどうすればいいか?
これもドラマ中にでてきますが、動物園における展示を考える上でに大切なのは
「見る人(来園者)の目線」
「動物たちの目線」
です。

「見る人の目線」は博物館一般に言えることなので、ここでは詳しく書きませんが、
これで、最初のケースは解決するでしょう。
動物園に特殊なのは、展示物が生きている、「動物たちの目線」が必要なことです。

「動物たちの目線」に立つためには、動物たちについてよく知らなければなりません。
本来は、どのような生活リズムを送っているのか?
行動範囲は?
餌の量は?
柵の高さ一つとっても、ストレスを感じる動物はいます。
狭い檻の中にいて動かなければ、運動不足にもなります。

今までの動物園は、どの動物に対しても、一様な檻の中に入れ、来園者にはただ外側から見せていた、こういう動物園が多かったのではないでしょうか?
これでは、動物の目線にも立っていませんし、見る人の目線にも立ってません。
ここ十数年で、見る人の目線にたった動物園は増えてきました。
しかし、動物の目線にたった動物園は、まだまだ少ないのではないでしょうか?
動物の目線に立つとはどういうことか、そしてその大切さを教えてくれたのが、
今回のドラマであり、旭山動物園なのだと感じました。

実際はどうなのか、いずれ現地を見学して確かめてみたいと思います。

 #そもそも、生命を扱う動物園は必要なのか?その根本的議論は、今回はなしです。
 #動物園は必要、という前提で書きました。

 #っていうか、こんなに長々と書くとは・・・(^^;
 #日付変わっちゃったし(苦笑)

投稿者 KEN : 01:37 | -

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