2007年4月26日
Habitable Zone
ヨーロッパの天文学者のチームが、
ESO(ヨーロッパ南天天文台)の口径 3.6 m 望遠鏡を用いて、
新たな太陽系外惑星を発見したと発表しました。
その惑星は、質量が地球の約 5 倍、大きさが約 1.5 倍で、
なんとハビタブル・ゾーンに位置しているというのです。
ハビタブル・ゾーンとは、日本語で言えば連続生存可能領域。
生命が連続的に生存できる環境を維持できるエリアということで、
要は温度的に液体の水が存在できる距離に惑星があるかどうかということです。
この惑星の中心星は赤色矮星と呼ばれる暗くて小さい低温の星。
なので、実はこの惑星、中心星からものすごく近いところを回っているのですが、
それでもハビタブル・ゾーンに位置していることになるのです。
太陽程度の星だと、皆さん知ってるとおり地球付近が HZ になり、
すなわちそのあたりを回っている惑星を発見するとなると、周期が 1 年となり、
発見するまでにそれ以上かかるというわけです。
それはなかなか見つけづらいので、
太陽よりも暗い星で中心星から近くても(=周期が短くても)HZにある惑星であれば、
短い時間でさがせる、という発想をしたのが、今回発見したチームなのです。
詳しくは観望会用にポスターを作ったので、ご覧ください(右上にある 241.pdf です)。
まだまだ不確定的な要素が大きいですが、これからが楽しみですね。
投稿者 KEN : 16:45 | 2007年度以前の記事 | コメント (18) | トラックバック (18)
2007年4月20日
dandelion / タンポポ
長らく寒かったですけど、今日は暖かくなりましたね。
春の野草に混じって、天文台ではタンポポが咲き盛り。
野草花の中では比較的大きな方なので、目立ちますよね。
ライオンの名が冠されているのも納得です。
ところで、普通、皆さんが家の近くで見ているタンポポは、
きっとセイヨウタンポポという外来種だと思います。
日本には古来からカントウタンポポやカンサイタンポポ、トウカイタンポポ、エゾタンポポなど、
地域特有のタンポポが咲いていたのですが、
近世になってからセイヨウタンポポをはじめとする外来種が帰化し、数を減らしています。
セイヨウタンポポは単為生殖で種子をつける、
すなわち花粉に関係なく単独で種子ができてしまうため繁殖力が強く、
都市部を中心として日本各地に広がっています。
田園地帯では在来種のタンポポが勢力を保っているため、都市化の指標生物として使われたりもしますね。
最近は、セイヨウタンポポと在来種との雑種まで見つかるようになり、
遺伝子汚染という点で問題になってきています。
だいぶ前振りが長くなりましたが、
実は天文台のタンポポ、そのほとんどがカントウタンポポなのです。
どのように区別するかというと、
花を包んでいる「総ほう」と呼ばれる部分が反り返っているかどうかを見るのです。
写真で見比べてみてください。
よく、天文台にいる人は、交通の便が悪かったり、近くにコンビニがなかったりで、
天文台を「陸の孤島」なんて言ったりしますけど(笑)、
もしかしたら、生態系にとっても「孤島」なのかもしれません。
(天文台の周りをちゃんと観察していないので何とも言えませんが・・・)
東京学芸大学にもたくさんのタンポポが咲いていますが、
そのほとんどはセイヨウタンポポ、もしくはカントウタンポポとの雑種です。
なので、多摩地域全体に(都心に比べ田舎だから)カントウタンポポが残っているわけではなさそうです。
都心ではめったに見られなくなったカントウタンポポ。
ぜひ一度、見に足をお運びください。
そうそう、セイヨウタンポポに比べカントウタンポポの方が花が咲く時期が短いのです。
夏まで咲いているタンポポはそのほとんどがセイヨウタンポポ。
というわけで、見に来られる方はお早めに・・・(笑)
投稿者 KEN : 21:05 | 2007年度以前の記事 | コメント (0) | トラックバック (0)
2007年4月19日
Digital vs Analog
今日は、平塚市博物館で開催された「デジタルプラネタリウム・ワークショップ」に出席してきました。
半ば、興味半分(笑)
今回は第 2 回だったようですが、前回を上回る 110 人もの方が参加していました。
見知った顔もチラホラ。
まず、デジプラがどんなものかわからない方へ、ちょっとした解説。
皆さんが頭に思い浮かぶプラネタリウムって言うのは、
真ん中に変な形の機械があって、そこから光がでてドーム型のスクリーンに星が映る、
そんなやつだと思います。
これがいわゆる「光学式プラネタリウム」。
デジタルかアナログかと言われれば、アナログになります。
それに対してデジプラは、数台のプロジェクターでドームに星や映像を映すのです。
そのため、平面の映像を映像を球面に映すための技術が不可欠になります。
今回のワークショップは、どちらかといえば、技術面についての話がメイン。
なにがなにやらって感じでした(苦笑)
勉強しなければいけませんね。用語からして初めて聞くような言葉がたくさん。
実際、デジプラも見せていただきましたが、星像は断然、光学式の方がいいですね。
やはりデジタルの方は星をドットで表しているので、明るい星ほど見栄えが・・・。
しかし、日周運動を線で見せたり、
地球を飛び出して恒星間飛行や銀河の大規模構造などを見せられるのはデジタルの強み。
両方の長所を生かした使い方をしたいものです。
大事なのは、その進歩した技術でなにを映すのか、何を伝えるのか、です。
表現力が増えた以上、番組を作る・演出する側も、解説者側も、更なる力量が問われるでしょう。
優れた技術でも、活かしきれなければ宝の持ち腐れ。
次のワークショップでは、そのようなことをメインに据えてほしいですね。
それに、ますます解説者には知識が問われることになるでしょう。
何でも見せられるということは、危険なことでもあります。
実際に不可能なことでさえ見せられるようになったのですから。
WMAP の画像を全天に映して、ただきれいだね、では何の意味もありません。
(それを演出として使うのであれば別ですが)
しかし、宇宙誕生後 37 万年後の姿とだけ伝えても、見た人は誤解してしまうでしょう。
別に、そのときの宇宙が虹色の世界だったわけではありません。
あれは宇宙背景放射のゆらぎを可視化しているわけで、
そのことをしっかりと伝えられる知識と技術が解説員に問われるのです。
地球からだんだん遠ざかって、宇宙の階層構造を見せる方法。
Mitaka とかでもよくやりますが、あれも、下手をすれば、宇宙の中心が地球であると錯覚させかねませんから。
とはいえ、プラネタリウムの可能性が広がったわけですから、
業界みんなで勉強して、いろんな人を巻き込んで、活用していきたいものです。
自分だったら・・・平塚市博物館の鳫さんとも話したのですが、宇宙をいろんな波長で見せたいですね。
しかも連続的に。
可視光で何もないところでも、電波や赤外線で見たら、別の何かが見えてきます。
私たちが可視光で見てる宇宙なんて、4 %(※)の中のさらに数 % ですよ。
プラネタリウムで可視光の世界のみをやる道理なんてないはずです。
皆さんだったら、どんな宇宙を見せたい or 見たいですか?
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(※) 宇宙は、我々が知っている物質は全体の 4 % しかなく、
ダークマターが 23 %、ダークエネルギーが残りの 73 % を占めていると考えられている。
投稿者 KEN : 22:57 | 2007年度以前の記事 | コメント (173) | トラックバック (34)
2007年4月14日
What Sound ?
今日は久しぶりに、科学の本の読み聞かせの会「ほんとほんと」が主催する
「読もう遊ぼう科学の本(通称:よもあそ会)」に参加してきました。
今回のテーマは「音」。
音を作ろう、ということで、普段の生活で出てくる音をいろいろなもので再現しました。
始める前から、会場の後ろの方にはグラスハープや輪ゴムを欠けた缶、
中にいろいろなものが入った空き缶などを用意して、子どもたちに音を出してもらいました。
そしてメインの音つき紙芝居。
紙芝居のストーリー自体はふつ〜の日常を描いていたのですが、
後ろで隠れて、そこに登場する音をスタッフが表現しました。
人が歩く音、風の音、雨が降り出す音、雷の音、台所での音の数々・・・。
人が歩く音はもちろん足音。
風の音は、束ねたスズランテープを振りました。
雨が降り出す音は、プラスチック容器の中に小豆を落として出します。
雷の雷鳴は、キャスターつきの椅子を走らせて出しました。
傑作だったのは、ガスコンロをつけたときの音と、フライパンで油がはねているときの音。
どうやって再現したと思います??
ガスコンロをつけたときの音は、傘が開くときの音を利用しました。
どの傘でもいいってわけじゃないんですよ、これ。
ビニ傘はダメです。
フライパンで油がはねているときの音は、
梱包材(あの空気が入った小さい玉(?)がいっぱいついているやつです)をまるめてねじる!
すると、パチパチって音がするんですよ。
意外なもので、音の表現ってできるものですね。
子どもたちには当然、見えないように音は出しているので、
どうやって出しているのか、すごく気になっているようでした(笑)
みんな、真剣に、紙芝居そっちのけで耳を澄ましていましたね。
種明かしをして子どもたちにも実際にやってもらいましたが、
これを機に、日常の音をもっとじっくり聞いてもらえればと思います。
投稿者 KEN : 23:12 | 2007年度以前の記事 | コメント (80) | トラックバック (76)
2007年4月8日
37th Comet Conference
昨日今日と、「彗星会議」なるものに出席してきました。
これは毎年開催されている彗星に関する研究会で、
アマチュアからプロの研究者まで、幅広い人が集まります。
今年は 37 回目。
会場は新潟県は八海山の麓にある日本大学理工学部のセミナーハウス。
自分の専門は彗星ではありませんが、
福島さんの手伝いで彗星観測の手伝いをすることもありますし、
元々興味はあった天体なので、
学部 1 年のときの 33 回から毎年、出席しています。
今回は実行委員として参加、受付の手伝いやその他諸々の雑用をしながらの参加でした。
去年もですけど(笑)
#そういえば、去年は卒業式の後、そのまま夜行で行ったんですよ(苦笑)
今回のメインは、有名な「池谷・関彗星」の発見者、関勉さんの講演。
独特な語り口で、観測生活の様子や発見に至る道のりなどを話してくださいました。
「自分には才能も運もないから努力するしかなかった」という言葉に、すごく重みがありました。
分科会は門田健一さんが座長を務める「撮像観測」に、去年に引き続き参加。
そして夜は 雲間の隙間を狙って、セミナーハウス所有の 60cm 望遠鏡で彗星を狙うも、
雲に阻まれて観望できず、土星のみとなりました。
その後の懇親会では、毎年定例となった織部隆明さんによる「彗星カルトクイズ」。
毎回毎回、あれには敵いません(笑)
ただの彗星の写真出されて、何年何月何日の写真でしょう! とか言われても、わかるはずがありませんよ。
でも・・・当たる人いるんですよね〜。
背景の星座の星とかを参照して。
今回、クイズ王に輝いたのは吉本勝巳さん。
しかし、一番すごいのはクイズを考えている織部さんじゃないかと(笑)
翌日(=今日)は研究発表。
中村彰正さんや吉田誠一さんの発表はいつ見てもすごいと思いますね。
そして、今回は門田さんの発表が良かった!
確認観測の現場の緊張感、臨場感が伝わってきましたよ。
解散後は、関さんや実行委員長の村上茂樹さん(シュナイダー・村上彗星の発見者)たちとお食事。
で、今に至ります。
というわけで現在、越後湯沢駅。
これからのんびり鈍行で帰ります(笑)
会議の様子はこちら。
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2007年4月6日
【bloom】 maple tree / 【開花】 イロハカエデ
皆さん、イロハカエデって木は知っていますか?
そう、秋になると真っ赤に紅葉するあの木です。
モミジなんて呼ばれたりもしますけど、紅葉は紅葉する木の総称。
その代表格がイロハカエデです。
秋の紅葉している姿はよく知られていますが、
意外にカエデの花って見たことない人が多いんですよ。
皆さんはどうですか?
その花が咲くのはちょうど 4 月の中頃から下旬に欠けて。
今年は早いものでもう咲き出しました。
天文台の正門周辺にはたくさんのイロハカエデがあります。
それらも一斉に咲き出しました。
小さいですが、赤くてきれいな花が咲いていますので、ぜひ見てみてください☆
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