2007年6月17日

Universal Design

というわけで(?)、
今日は山梨県甲府市は山梨県立科学館にて、
天文教育普及研究会関東支部会が開催されました。

テーマは「ユニバーサルデザイン天文教育」ということで、
研究会にある WG の一つ、「ユニバーサルデザイン天文教育 WG (UDWG)」のメンバーを中心に、
関東支部委員で実行委員を作り、運営してきました。
自分のメンバーの一人なので、それなりにはたらきました(笑)
準備等、様々な面で山梨県立科学館の方にはお世話になりました!
ありがとうございました!

我々実行委員のメンバーの一部は甲府駅にほど近い湯沢温泉に前泊。
(前夜に飲んでいたことは想像に難くありませんね・笑)
旅館の送迎バスで一路、科学館に向かいました。

午前中はオプションと言うことで、
科学館のプラネタリウム番組である「星月夜 〜めぐる大地の歌」を観覧。
このプラネタリウム番組は、視覚障碍者のための副音声が用意されているのです。

僕自身は、この番組を見るのは 2 回目ですが、
プラネタリウムってこんなこともできるのか!って思いましたね。
星座を話すだけではなく、天文学の話をするだけでもなく、
「プラネタリウム」という空間をうまく利用した作品だと思います。
なんか、人生とか、時の流れとか、地球の営みとか、そういうものを感じられましたね。
BGM もよかった!
サントラの CD を買おうかどうか、目下迷い中です(笑)

今回、副音声のシステムも進化していました。
以前僕が見に来たとき( 3 月)は、ポータブル MP3 プレーヤーを貸し出して、
解説員の方の合図に合わせて、自分で再生ボタンを押して聞く、という方式。
暗闇でボタンがどこかもわかりづらいですし(というか、目が見えない方には明るくてもわからない)、
タイミングを間違うともうアウトでした。
今回は、トランスミッターで電波をとばして、各自持参した FM ラジオで受信して聞く方式になっていて、
タイミングがずれることもなく、快適に聞けるようになったのではないでしょうか。
 #自分は、前にも聞いたので、持ってきていたラジオを忘れた人に貸したので、体験してないので(^^;


その後、昼食をとって研究会の本番開始。

研究会前後はいろいろ考えさせられたのですが、それについては後々、個別に書きます。
今日の日記は、あくまで研究会の報告と言うことで。

実行委員長の T さんや科学館館長の M さんの話があり、
まず最初は、M さんによる、UDWG の設立経緯や活動趣旨説明、活動報告がありました。
京都大学附属病院での活動は定期的に続いているようで、我々も見習わなければと思いましたね。

その後、科学館の T さんから、科学館で行っている活動を紹介するとともに、
その活動にも加わっている視覚障碍者の方たちに前に登場してもらい、お話を聞きました。
研究会で最も有益な時間でした。
詳しくは別記と言うことで。

休憩をはさんで、自分を含め 4 人の研究発表。

大阪大学の O さんからは、WG で行った、天文教育施設へのアンケートの報告。
どれだけバリアフリー化に努めているか、ソフト・ハード両方の面で、
まだまだほど遠いなと感じる点がいくつもありました。

東京都立八王子盲学校につとめる S さんの発表では、点字の配布料も登場!
実際に授業で使っている点字の教科書や弱視の生徒用の教科書、模型などが登場して、
時間が足りないくらいでした。

国立天文台ハワイ観測所の H さんからは、院内学級での天文教室の様子が紹介されました。
自分たちの活動とも関係があるため、非常に興味深かったです。
最初に流れた、マウナケア山頂からの星景 DVD も美しかったですね☆

で、トリが自分の発表(笑)
天プラで行ってきた、病院での天文教室と、託児付天文教室「みたか宇宙塾」の活動について報告してきました。
小さいお子さんがいて天文教室やプラネタリウムに行けない、っていうのもバリアですからね。
それらもとりのぞいてこそ、ユニバーサルな天文教育になるはずです。


最後にわずかな時間ですが討論をして、会は盛会のうちに終了しました。


今回の研究会の特徴は、本当に様々な分野の人たちが集まったことだろうと思います。
天文教育・普及に携わっている人たちはもちろんですが、
視覚障碍者の方たち、点訳を行っている方、病院の先生、etc...
これからも、ますますの活動が期待できるような会で、とても有意義な時間を過ごせました。
また頻繁にこのような会を催して集まりたいものです。


(おまけ)
特別プログラムとして、会終了後、以前、科学館で投影していたプラネタリウム番組
「戦場に輝くベガ 〜約束の星を探して」を見せていただきました。
これも見るのは 2 回目なのですが、感動できます。
戦争、という、およそプラネタリウムには似合わないテーマのように思えますが、
太平洋戦争中、南方を飛ぶ爆撃機を目的地まで導くために用いられたのが星の座標。
天測によって星の高度・方位角を測り、そこから自分たちのいる位置を割り出すという方法です。

「夜空に輝く美しい星たちが、戦争の道具ではなく、希望の光として眺められる時代が来ることを願っています。」
という主人公たちのメッセージが、いろいろと考えさせられる名作です。
人間の営みとは無関係に輝く星も、こうして戦争に利用される時代があったことをしることができます。

8 月の第 2 週にはたしか再投影されるはずですので、
機会があればぜひ、見に行ってください!

投稿者 KEN : 23:26 | 2007年度以前の記事 | コメント (53) | トラックバック (53)

2007年6月16日

Hokule'a

先日( 6 月 11 日)の日記で紹介したホクレア号、
そのときは残念ながら乗船体験ができなかったのですが、
今日、国立天文台たまけんの M さんと一緒に乗ってきました!

今日がホクレアに乗ることのできる最終日。
しかも午前中だけとあっては混むだろうと、
8 時 45 分にみなとみらい駅で待ち合わせ。
9 時過ぎにはホクレア号が繋留されているぷかり桟橋に着きました。
行く道筋はそんなに混んでいることを感じさせなかったのですが、
着いて整理券をもらってみると番号が 111 番。
結構早くから来ていた人がいたようです。

乗船受付は 10 時からだったので、下見も兼ねてプラネタリウム投影の会場まで散策。
もしかしたらプラネも混むから整理券を配っているかもしれない!と期待していったのですが、
オープンすらもしてなく、閑散とする会場(苦笑)
まぁ、でも、会場までの道のりと所要時間がわかっただけでも収穫と言うことで(笑)

そして、ぷかり桟橋に戻り、乗船受付のために並びます。
話によると 60 名ずつ乗船してもらっているとのこと。
そんなに乗るのか、っていうのが正直な感想でしたが、そうでもしないと時間内に終わらないのかもしれませんね。
一人でも多くの人を乗せたいというクルーたちの思いもあるのでしょう。

前の組が乗船している間、ホクレア号の処女航海からずっと立ち会ってきた方から、
ホクレア号についてや船上での生活について、写真を見せてもらいながら話を聞きました。
写真は、そのときに見せてもらった、ホクレア号で使っているロープなどです。
ココナツの実の内側の繊維で作られているそうですよ!

その後、いよいよ乗船。
救命胴衣をつけ、乗船時の注意を聞いていざ、乗船です。
船が小さいのでかなり揺れていて、クルーの人たち 4 人がかりで、支えてもらいました。

人数が多いので、船体の前と後ろに半分ずつ分かれて説明を聞きます。
前半はホクレア号の船内設備や、船の様々な箇所に、ホクレア号に貢献した人の名前が入っているという話を聞きました。
後半は唯一の日本人クルー、内野加奈子さんから、スターナビゲーションの話を聞きました。

クルーの人たちは皆、面白くてやさしかったです。
見学時の写真はこちらです。


その後、M さんが聞きに行くという講演会の整理券をとるために並びつつ、
プラネタリウムへ。

仮設のドームに五藤工学のプラネタリウムが入っていました。
解説はプロの解説員による生解説。
でも、急ごしらえだったせいか、ドームの遮光がイマイチ、
かつ、プロジェクタと同じ電源を使っていたのかプラネの明るさが弱くて、星がよく見えない。
(途中、プロジェクタの電源が切れてしまったのですが、そのせいで星はよく見えるようなりました・苦笑)
本来は後半、絵本のスライド投影があったのですが、
プロジェクタが使えなくなってしまったのでそれも中止に。
ドームの中も暑かったし、なんかいろいろ中途半端だったですね。

というわけで、ただ今、特急かいじ車内。
明日から山梨で研究会、今日はその前夜祭(?)です。

投稿者 KEN : 15:18 | 2007年度以前の記事 | コメント (24) | トラックバック (21)

2007年6月11日

search for happy star

「幸福の星」という名を持つ星。
その名はホクレア。


というわけで、一昨日、
その星の名を冠した船、
遠洋航海カヌー「ホクレア号」が横浜港に入港しました。
ハワイからの約 1 万 3000 km を
3 ヶ月以上もかけて沖縄の糸満に到着、
熊本や福岡、宇和島などをめぐって、
最後の寄港地である横浜へ着いたのです。

知らない人のために、ホクレア号がどういうものか説明すると…
海図やコンパス、羅針盤といった航海器具を使わずに、
星の位置や海のうねり、風や雲の動きを元に自分たちの位置を割り出し、
目的地への針路を定める『スターナビゲーション』という方法でハワイから日本までやってきた船。
人類はハワイやポリネシアにどのように広がっていったのかを探るという実験考古学的なことと、
スターナビゲーションという伝統的航海術を復活させることを目的としてホクレア号は作られたんだそうです。
(詳しくはウィル・クセルク著、『星の航海術を求めて 〜ホクレア号の33日』を読んでください)

昔から冒険的なものが好きだったから、
こういうのにはかなり興味が湧くわけで、
当然、本も読んだし、やはり地元に程近い横浜に来たんだから、これは行かねば!ってなわけで(笑)
今日、行ってきました!

残念ながら乗船体験はできなかったんですが、勇姿は拝んで来ましたし、ひとまず満足です☆

14日には船長のナイノアをはじめ、クルーたちが三鷹の小学校を訪問予定だそう。
時間が合えば、彼らの横浜までの帰り道の同行を手伝えるんですけど…TAがあるんですよねぇ、大学で(>_<)
(せっかくだから50cmで星を見ていってもらいたんですが…)



そして、今、頭上には、薄明の中、ホクレアが輝いています。



ハワイ語でホクレアとは…うしかい座の一等星アークトゥルスのこと。

日本ではその色合いから「珊瑚星」と呼ばれてきました。
「真珠星」スピカとの対比が美しいですよね。
二つ合わせて「春の夫婦星」とも呼ばれます。


そのホクレアに願いを託して……観測開始。

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ホクレア号についてはこちらをご覧ください。

・ホクレア号航海ブログ http://hokulea.aloha-street.com/
・ハワイ州観光局 ホクレア2007 http://www.gohawaii.jp/hokulea2007/

タイムドーム明石(東京都中央区)では、ホクレア号の番組を特別投影しています。
 http://www.city.chuo.lg.jp/ivent/hokurea/index.html

投稿者 KEN : 23:09 | 2007年度以前の記事 | コメント (123) | トラックバック (56)

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