2008年4月12日
full Earth
日本が打ち上げた月周回衛星「かぐや」。
レーダーによる地形図を作成したりと、さまざまな科学成果をあげていますが、
「かぐや」は科学データを得るだけではありません。
NHK が開発したハイビジョンカメラ(HDTV)は、
今までみたことない鮮明な月表面の画像を、
次々と私たちの元へと送り届けてくれています。
その「かぐや」が、「満地球の出」の撮影に成功しました。
JAXA のプレスリリースはこちら。
「地球の出」自体の撮影は、昨年の 11 月 7 日に撮影に成功していますが、
「満地球の出」は今回がはじめて。
なぜなら、「満地球の出」を捉えられるのは、
年に二回、月、地球、太陽、そしてかぐやの軌道が一直線になるときのみだからです。
いや〜、もう、なんともいえない美しさですよね。
灰色一色の地面に、漆黒の空、そこに青い地球が昇ってくるんですよ。
ぜひとも生で見たいものです。
とはいえ、「地球の出」が見られるのは月面上ではありません。
月の周回軌道上です。
月は、いつも同じ面を地球に向けているのは、皆さんご存知ですか?
ということは、月面上から見ると、地球はいつも同じ位置に見えるはずです。
「地球の出」は、月の回りをぐるぐると回る、宇宙船から出ないと見れないんですね。
もちろん、人間が月に行く際は、きっと一周くらいは月の回りを回ると思うので、
月に行けば、きっと見れますよ(笑)
僕は、月に行って、ハンマー片手に好物採集するのと、
月の周回軌道上から「地球の出」を眺めるのが、将来の夢ですね(笑)
この「満地球の出」、もう一つ重要な意味があると僕は思います。
結構、スペースシャトルから丸い地球が見られると思っている方が多いですが、
スペースシャトルの軌道は高度約 400km、そのため丸くは見えません。
静止軌道くらい(高度約 1 万 2000km)離れないと、地球は丸く見えないのです.
そのため、人類として地球全体を初めて見たのは、
初めて月の周回軌道に投入されたアポロ 8 号の乗組員たち、
フランク・ボーマン船長、ジム・ラベル司令船パイロット、ビル・アンダーズ月着陸船パイロットの 3 名。
(ちなみに、初めて「地球の出」を見たのも彼らです)
とはいえ、太陽との位置関係上、地球は丸くはありませんでした。
その後、アポロ 10、11、12、13、14、15、16、17 号が月軌道へと到達しましたが、
丸い青い地球を写真に収められたのは、アポロ 17 号のこの写真のみです。
有名な写真ですよね、これは。
20世紀を代表する写真の 1 枚にも選ばれたとか、そんな話もききます。
その後も、さまざまな探査機が月に向かいましたし、
他の惑星へ向かい際に地球でスイング・バイしたときに地球を撮影していますが、
丸い、そして鮮明な地球の姿を記録したのは、「かぐや」が初めてでしょう。
そういう意味でも、貴重なショットのように感じます。
なにより、この青くて美しい、丸い地球を見ていると、
「地球は一つ」というのを実感しますよね。
この写真を見れば、僕たちが「地球人」であることを強く認識させてくれると思うのです。
そのような意識を広めることができる、今回の映像にはあると思います.
今、マスコミなどに連日登場するチベット問題をはじめとした民族問題、
北海道・洞爺湖サミットの重要議題の一つでもある地球温暖化問題をはじめとする環境問題、
それらを解決するための意識改革に、
「かぐや」が撮った「地球の出」はなりうるのではないでしょうか。
投稿者 KEN : 21:39 | 天文学最前線
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