2008年6月4日

additional resolution

今日、参議院本会議で博物館法改正法案が全会一致で可決されました。
ニュースにはほとんど出てきませんけど・・・(苦笑)

数年前から、科学館やプラネタリウムをはじめ、博物館業界では、
指定管理者制度の導入などで揺れに揺れています。
はたして、公共教育機関に指定管理者制度は見合うのか?
もちろん、すべてが悪いとは言いませんし、施設側が努力すべき点はまだまだありますが、
教育効果というのは数字ではなかなか表わせられないもの。
あまり適しているとは思えません。

今回の改正案には、以下のような附帯決議も同時に可決されています。
長いですけど全文載せますね。

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政府及び関係者は,本法の施行にあたり,次の事項について特段の配慮をすべきである。


 生涯学習の振興、社会教育の推進にあたっては、国民のニーズに応じた学習機会の提供と学習活動の支援に努めるとともに、各地域における学習ニーズの継続的な把握、多様な取組に係る情報の収集と提供など国民の自発的、主体的な学習が担保されるよう配慮すること。


 国民の生涯にわたる学習活動を支援し、学習需要の増加に応えていくため、公民館、図書館及び博物館等の社会教育施設における人材確保及びその在り方について検討するとともに、社会教育施設の利便性向上を図るため、指定管理者制度の導入による弊害についても十分配慮して適切な管理運営体制の構築を目指すこと。また、各地方公共団体での取組における地域間格差を解消し、円滑な運営を行うことができるよう様々な支援に努めること。


 生涯学習・社会教育に係る個人の学習成果が、学校、社会教育施設その他地域において行う教育活動として生かされるよう、各個人の学習活動と地域社会の教育活動との循環につながるような具体的な取組について支援に努めること。


 公民館、図書館及び博物館が自らの運営状況に対する評価を行い、その結果に基づいて運営の改善を図るに当たっては、評価の透明性、客観性を確保する観点から、可能な限り外部の視点を入れた評価となるよう、国が関係団体による評価指標作成等に対して支援する等、適切な措置を講じるとともに、その評価結果について公表するよう努めること。その際、公民館運営審議会、図書館協議会、博物館協議会等を通じて地域住民等の意見が反映されるよう十分配慮すること。


 博物館については、多様な博物館がそれぞれの特色を発揮しつつ、利用者の視点に立ったより一層のサービスの向上がはかられるよう、関係者の理解と協力を得ながら、登録制度の見直しに向けた検討を進めるとともに、広域かつ多岐にわたる連携協力を図り、国際的に遜色のない博物館活動を展開できるような環境の醸成に努めること。


 地域における教育力の向上のため、学校、家庭、地域等の関係者・関係機関の連携を推進し、各施設資料の相互利用や人材の相互活用などを図るとともに、多様な地域の課題等に応じた機能を持つネットワークの構築を推進すること。その際、学校、家庭、地域の連携を推進する上で重要な役割を果たすPTAについて、その活動や運営などの実態把握に努め、「学校支援地域本部事業」における連携が円滑に進むよう十分配慮すること。


 社会教育主事、司書及び学芸員については、多様化、高度化する国民の学習ニーズ等に十分対応できるよう、今後とも、それぞれの分野における専門的能力・知識等の習得について十分配慮すること。また、各資格取得者の能力が生涯学習・社会教育の分野において、最大限有効に活用されるよう、資格取得のための教育システムの改善、有資格者の雇用確保,労働環境の整備,研修機会の提供など、有資格者の活用方策について検討を進めること。


 社会教育の推進に当たっては、社会教育委員の制度等を積極的に活用・活性化するとともに、社会教育委員がその重要な職責と役割を十分に認識するような環境整備を図ること。
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指定管理者制度については、二にその弊害について考慮するよう指摘されています。
そうなってほしいものです。

自分が職員になった今としては、七も気になります。
指定管理者制度のせいもあって、博物館関係の正職員になる道は今まで以上に狭くなっています。
しかし、年限付きの非常勤職員では、地域や来館者とのネットワークも、経験の積み上げもしづらくなります。
もちろん、同じ場所に長い間いる弊害もありますが・・・。
博物館職員は専門職員ですから、それに見合う待遇を与えられるようになってほしいものです。

また、七にも書かれていますが、学芸員資格取得のためのシステムも改善する必要があるでしょう。
教育免許以上に、各大学等でその講義・実習の中身はバラバラです。
最近は、資格を取れることを売りにして、中身の伴わない授業を行っている大学もあるようです。
「博物館学芸員」という資格が、しっかりとその人の能力を保証するものであり、
かつ、社会で活用されるようなものにしなければいけません。

投稿者 KEN : 20:45 | -

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