2009年11月26日
事業仕分けとノーベル賞・フィールズ賞受賞者声明 2
さて、前の記事の続きです。
今日行われたノーベル賞・フィールズ賞受賞者による記者会見、
仕事中に上司と見ていました。
正直な最初の感想。
「これ、一般に人が見たら、エライ科学者の先生って何言ってるのかよくわからない、って思うんじゃなかろうか」
ですね。
もうちょっと整理して簡潔に話してほしかった。
人前でわかりやすく話すことの難しさ、は知っているつもりだったけれども、さらに実感しましたよ。
論理的に物事を考えることができる科学者たちでさえ、ああですから。
自分も人のことは言えません。
利根川さんの、マスコミに対する意見もすごくよくわかるんだけど、
科学者たちはこうしていく、というメッセージをさらにあそこで出せればよかった。
でないと、ただの批判ですよ。
とはいえ、これだけの短期間であれほどの方たちがあつまって声明を出した。
記者会見をした。
この意味は大きいと思うし、行動は評価できると思います。
政治的にも、鳩山総理に「会って話が聞きたい」と言わせたのだから、成功したのでしょう。
しかし、仮に予算がすべて復活したとしても、科学界はよかったの一言で片づけてはいけないと思います。
研究者は科学をもっとわかりやすく国民に説明していく義務は当然なくなるわけではないですし、
税金をつかって研究させてもらっている、という事実は頭の隅に入れておかなければいけません。
どうも今回の会見、上から目線的な感じが少しですがしました。
でも、「科学は重要だ!」と頭ごなしに言っているだけでは、誰も納得しません。
自分たちと一緒に科学を楽しんでもらう、楽しみ方を知ってもらう、そういう努力が必要なのです。
「天プラ」で活動していて、私たちは天文教育活動をしているとか、天文普及をしているとかいう感覚は、
人にもよると思いますが、あまり持っていません。
自分たちが天文学を楽しいと思っているから、
自分たちが楽しいと思っていることをほかの人にも知ってもらいたいから、
自分たちが専門とする「天文学」をツールとしてほかの人とコミュニケーションをとるのが楽しいから、
だから活動をしているのです。
そして、僕はそれを本職にもしているわけです。
それが、結果的に科学を文化として楽しむ人たちを増やし、
科学を正しく理解してくれる人を増やすことにつながると信じています。
「科学は大切だ!」と高いところから言っているのは、
「勉強しなさい!」と大人がこどもに言っているのと変わりがありません。
それではこどもは反発して勉強しなくなります。
今回の事業仕分けの話を聴くたびに、自分がやってきた活動は間違ってない、
こういうことを続けていけば、きっとサポーターが増えていく、そう感じています。
誰かが話していたように、今回をいいきっかけにしなければいけないでしょう。
科学界全体が社会との関係を考え、国民目線で科学について謙虚に考えなければいけません。
そして行動ですね。
投稿者 KEN : 03:12 | - | コメント (1) | トラックバック (0)
2009年11月26日
事業仕分けとノーベル賞・フィールズ賞受賞者声明 1
世間で話題になっている事業仕分け。
この言葉を聴かない日はないですね。
天文学や宇宙開発をはじめ、科学に関する政策も当然、事業仕分けの対象になるわけで、
すでにスパコンやロケットなど、マスコミで大々的に取り上げられています。
今日、東京大学でノーベル賞・フィールズ賞受賞者による記者会見と声明発表もありました。
小林誠さん、野依良治さん、利根川進さん、江崎玲於奈さん、森重文さん、益川敏英さん(声明のみ)と、
大物が集まったわけです。
僕は勤務中でしたが、観望会のお客さんがいなかったこともあって、中継を見させてもらいました。
というわけで、僕も今回の事業仕分け、特に科学分野の結果について、
自分なりの考えを書いてみたいと思います。
まず、事業仕分け自体には異論はありません。
誰もが目にすることのできる公開の場で国の予算に関する議論が行われている。
これ自体は画期的なことですし、国民の目を向けさせたという意味でも、
評価できると思います。
その反面、劇場を見てるような、というか、パフォーマンスみたいになってしまった感も否めません。
無駄遣いをなくすというスローガンのもと、まるで裁判劇を見ているようでした。
たしかに大幅な予算削減は人材の海外への流出、喪失を招くでしょう。
科学、特に基礎科学は短期間で目に見える成果がでるわけではありません。
今やっていることが 10 年後、どのような成果を上げているか、わからないのです。
もちろんだからと言って見通しのない無駄な研究はダメですが、
無駄かどうかもあとで振り返ってみてわかる、という側面もあるのが事実です。
今回の事業仕分けのようすを見ていた後輩の何人かが、
日本を離れようか本気で考えた、というようなことを話していました。
一度、人材が枯渇し、知識や技術の積み重ねが中断されてしまうと、取り返しがつきません。
科学の成果は、それを出した国のものだけではありません。
人類共通の財産です。
これまでそうして積み重ねられた科学的知識があるからこそ、今の私たちの生活があると言っても過言ではありません。
だからこそ、その知識の積み重ねに参加する意義もあり、またできる国としての義務もあるでしょう。
また、科学の価値は生活の役に立つかどうかだけではありません。
僕はクラシック音楽をよく聴きますし、漫画や映画も好きです。
スポーツも、ある程度は見ます。
しかし、それは生活の役に立つからではありません。
楽しい、心や人生を豊かにしてくれる、そう思えるからです。
文化とはそういうものです。
そして、科学も同じではないでしょうか。
もちろん、だからと言って現在の財政危機的状況は打開しなければなりません。
事業仕分けにおいて、科学技術予算だけが「聖域」にはなり得ません。
鳩山総理の「本当に(予算を)削るところがないのかどうかという議論はあってしかるべきだ」という発言はもっともでしょう。
しかし、他の事業と同じ目線で議論できるか、と言ったらそうではないと思うのです。
今回の事業仕分けの問題点の一つに、時間の短さがあるのではないでしょうか?
もちろん、来年度の予算を決めるという時間的制約はあります。
ですが、ここのプロジェクトや研究結果の審査、評価を行わず、
十把一絡げに決めてしまう今回の事業仕分けのやり方は、やはり納得がいくものではありません。
天下りがあるからといって追求されているプロジェクトもありますが、
それは天下りがダメなのであって、プロジェクトがダメとは限りません。
しっかりと個々の研究なりプロジェクトの本質を見てほしいと思います。
なんか、長く書きすぎましたね(苦笑)
昨日のノーベル賞・フィールズ賞受賞者たちによる記者会見と声明発表の感想は、
次の記事に書きたいと思います。
投稿者 KEN : 02:45 | - | コメント (0) | トラックバック (0)
2009年11月25日
世界天文年 2009 グランドフィナーレ
2009 年もあと一ヶ月とちょっと。
ということは、世界天文年 2009 もあと一ヶ月ちょっとで終わりということです。
というわけで、世界天文年 2009 グランドフィナーレを 12 月 5 日(土)〜6 日(日)、
神戸で開催します。
もちろん、そのあとも約一ヶ月、世界天文年 2009 はつづきますが、
区切りの全体イベントをしようということです。
6 日はとくに申込不要ですから、ぜひお越しください!
詳しくは下記をご覧下さいね。
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〜12月5日(土)・6日(日)神戸に集おう!〜
世界天文年2009グランドフィナーレ開催
ガリレオによる望遠鏡での天体観測400年を記念し、世界の148
の国と地域で展開され、日本国内でも約3000件の公認イベントな
ど多種多様な企画が展開された「世界天文年2009」。
多くの人々が宇宙に触れる驚きや感動を共有することができた
今年の活動の総決算として、世界天文年2009日本委員会の主催で
「世界天文年2009グランドフィナーレ」を開催します。
今年の感動や希望を未来に繋げるための議論の場、そして公開
イベントで、宇宙に触れる楽しさや驚きを多くの人々が体験でき
る場を設けます。
多くの方のご参加をお待ちしております。
日程:12月5日(土)・6日(日)
会場:5日 兵庫県公館
6日 兵庫県中央労働センター
神戸市立こうべ小学校(観察会)
http://www.astronomy2009.jp/
主な内容
5日(土):語り合おう 世界天文年 (事前申込制)
・シンポジウムT:世界天文年をふりかえって
・世界天文年2009 グランドフィナーレセレモニー
・世界天文年2009エッセイ賞選評対談
〜星空に綴られた思いとともに〜
・日食はすぐにやってくる!
2012.5.21 安全な日食観察のための緊急宣言
・世界天文年をふりかえる
〜ポスターで見る世界天文年の取り組み
・シンポジウムU:つなげよう!世界天文年
・世界天文年公認書籍成果報告会
世界天文年に携わった方、天文・科学の教育普及活動に
興味をお持ちの方を対象にした1日です。世界天文年の日
本での活動を振り返り、今後の発展につなげていくために
語り合いましょう。
*参加申込期限が延長されました。お早めにお申し込み
ください。
6日(日):体験!感動!世界天文年 (当日自由参加)
・モバイルプラネタリウム
・「地球から宇宙へ」天体写真展
・世界天文年セレクション商品展示会
・世界天文年公認書籍展示会
・天文書籍出張販売およびサイン会
・宇宙の果てまで立体シアターで旅に出よう
・企画体験コーナー「うちゅうにふれてみよう」
・星空から宇宙を駆け抜けるトークショー
・天文キャラクターといっしょに!明日にかける星
〜世界天文年2009グランドフィナーレ エンディング〜
・神戸の星の観察会
どなたでも参加できる、世界天文年の魅力を凝縮した1日
です。いろいろな体験イベントを通じて、宇宙の不思議と魅
力に触れ、たのしむことができます。
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投稿者 KEN : 20:58 | 星の子たより | コメント (2) | トラックバック (0)
2009年11月18日
しし座流星群
ちょっとだけ騒がれた今年のしし座流星群。
マスコミ的にはオリオン座流星群のほうが騒がれたみたいですが、
いろんな研究者の予報で、「今年は流れる!」的な雰囲気になってましたからね。
#とはいっても、予報極大時刻は日本の日の出後だったんですが(^^;
重い腰(?)を上げて、チラッとだけ見てきました。
11 月 18 日の午前 4 時 30 分から、午前 6 時ちょっと前まで。
場所は明石市の魚住親水公園。
天気予報的に期待してなかったんですが、
ベランダからふと外を見たらオリオン座が見えてる!ということで、急遽、午前 3 時頃、下見に。
このときは雲が流れているものの、ほぼ快晴でした。
たかだか 20 分程度しか外にいなかったのですが、散在流星を 1 つ、群流星と思しきものを 2 つ確認。
いったん退避して、上記の時刻に再チャレンジ・・・したところ、だいぶ空が薄曇に・・・(汗)
とはいえ、3 等星くらいまでは見えてなくもないので、これ以上天候が悪化しないことを期待しつつ、
粘ることにしました。
その甲斐あって、約 1 時間半で群流星を 15 個確認。
自分的にはオリオン群よりよっぽど満足(笑)
世界的に出現がどうだったのかは気になりますが・・・とりあえず、今日はもう寝ます。
おやすみなさい。
今日が公休日でよかった・・・(笑)
投稿者 KEN : 06:15 | Star Watching! | コメント (1) | トラックバック (0)