銀河鉄道の夜

2006/Feb/4/

天プラMLで宮沢賢治の話が(いや勿論それ以外の話がメインだったんですが)出たついでに。

銀河鉄道の夜にはいくつかの別稿があります。そのなかの初期形と呼ばれる稿に出てくる「ブルカニロ博士」。この稿ではジョバンニの旅は彼の実験の一環ということになっているんですが、まあ詳しい話はおいておきまして私の好きなブルカニロ博士の最後の台詞を引用。

「おまへは化学をならったらう。水は酸素と水素からできてゐるといふことを知ってゐる。いまはだれだってそれを疑ひやしない。実験して見るとほんたうにさうなんだから。けれども昔はそれを水銀と塩でできてゐると云ったり、水銀と硫黄でできてゐると云ったりいろいろ議論したのだ。みんながめいめいじぶんの神さまがほんたうの神さまだといふだらう、けれどもお互ひほかの神さまを信ずる人たちのしたことでも涙がこぼれるだらう。それからぼくたちの心がいゝとかわるいとか議論するだらう。そして勝負がつかないだらう。けれどももしおまへがほんたうに勉強して実験でちゃんとほんたうの考えとうその考えを分けてしまへばその実験の方法さへ決まれば

もう信仰も化学と同じやうになる。」


投稿者 ナツガリ : 14:54 | 絵本・童話

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