われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか。
おそらくは人類が自我に目覚めて以来、絶えることなく引き継がれてきたこの問いを引き受けたい。そのために私たちができることは、ただひとつ。頭上に広がる星空の、奥へとひたすら突き進み、銀河を飛び越え宇宙の果てへ。混沌の時空の極みに見えるのは、神の摂理か真なる虚無か。それを見定めるは、あなた自身。
星を見るという地に足の着いた活動を入り口に、Mitakaなどのシミュレータを活用しながら具体的な宇宙の姿を概観し、さらには高度に概念化された宇宙の姿を超越的な視点から俯瞰する。天体観望会、Mitaka、宇宙図といった天プラの活動の諸相は、すべては一本の線でつなった分かち難いものであると考えています。このように、広義での天文学を体系化し、私たちの手にしっかりとつかまえる活動を、天文学の構造化と呼んでいます。
一方で、歴史を振り返ってみれば、天文学はいわゆる科学の範囲に留まらず、哲学、宗教、文化、芸術など、人間のありとあらゆる活動と結びついたものでした。しかし、ルネサンス期以降、天文学は宇宙物理学としての急激な発展を遂げた結果、人間の諸活動との関係性の中でその意義を語ることが難しい時代へと突入しました。私たちはいまいちど天文学を、世界とのつながりの中で語り直さねばいけません。このような活動を、天文学の統合化と呼んでいます。
天文学の構造化と統合化を同時に進めていく事を、私たちは「超宇宙図プロジェクト」と名付けました。このコンセプトの下で行われている諸活動を紹介します。
- 「天文学は社会に必要か?」(星ナビ2009年8月号)
- 「宇宙でつながる科学と神話」(星ナビ2010年7月号)
- 「宇宙でつながる世界」(星ナビ2010年11月号)
- 「天文学の構造化」(星ナビ2011年1月号)
- 「我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか」(星ナビ2012年9月号)