なぜいま、天文学なのか?

私たちはなにものであるのか。私たちはどこからきて、どこへいくのか。ギリシアの自然哲学に象徴されるように、古来、人々はこの世界の成り立ちやそのダイナミズムを探求してきました。自然を追究することは、すなわち、人間を追究することです。人間を含むこの世界の理解が基礎となって、私たちの文化や社会は成り立ってきたのです。

天文学は、そのような歴史の中において、もっとも古い学問のひとつです。人々は天を観察し、そこに法則を見いだし、その意味を考えることで、新しいパラダイムを生み出し続けてきました。コペルニクスに代表される天動説/地動説における視点の転換、ニュートンによる天上界と地上界の力学法則の統一、アインシュタインによる時間と空間の概念の書き換えなどは、自然科学の範疇を越えて思想や哲学にも影響を与え、私たちの世界観そのものを新たにしてきました。現代の天文学においても、ダークエネルギーの存在や、太陽系外惑星における生命兆候の探査などは、過去におきたパラダイムシフトに匹敵する影響を、私たちの文化に与える可能性を秘めています。

相互連鎖を本質とするグローバル化が進む現代の世界の中においては、私たちがどのような思想や哲学を持ち、世界と相対するのかということが常に問われます。天文学が提供する自然や人間に対する視点は、誰しもが共感しうる可能性をもった、世界観の基礎を成すものです。この視点を私たちが持つことは、多様な価値観を持つ世界の人々と共に現代を生きていく上で、きわめて重要な意義があると考えます。

このような考え方を基礎に置いて、天プラは活動を行っています。