これらは2003年度に行われた天文・天体物理若手の会第33回夏の学校で配布したアンケートの結果およびコメントです。 有効回収数は73、アンケートの配布場所は「天文学とプラネタリウム」ポスター前および特別セッション「天文学と社会」講演会の入り口です。回答者は天文学(あるいはその関連分野)を専攻する修士・博士課程の学生で、配ったアンケートの設問は以下の通りです。
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1.天文学の広報普及活動に興味はありますか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[コメント] 全体的に、天文学専攻の院生は天文学の普及活動に前向きである姿勢が見て取れる。アンケート配布場所がポスター前&天社企画講演会入り口であったことを斟酌しても、この傾向は大きく変わることはないだろう。 |
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2.あなたがなにか広報普及活動に携わっていましたら教えてください。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[回答] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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[コメント] 設問A-1では多くの人間が普及活動に興味を持っていると答えながらも、実際に活動している例を挙げてくれたのはわずか13名にとどまった。これは、動き始めるまでに越えねばならない閾値が大きいことを意味していると思われる。また、活動内容も地域密着型というよりは、研究組織などが主体として行われる活動が多い傾向が見られる。 |
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1.プラネタリウムから協力を申し込まれたら承諾しますか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[コメント] 実に9割以上の学生は「受ける」と回答している。設問Aの結果と合わせて考えると、問題は実際に活動を行う機会の不足であると言えるのではないだろうか。このデータを元にして、次はどのような機会が提供されるべきかを考察すべきであろう。 |
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2.その場合、謝礼は必要ですか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[コメント] 多くの学生は、「あるなら欲しい」と回答している。しかし、現実問題としてプラネタリウムや科学館などの予算は潤沢になるわけではないので、財源を確保するか、あるいは代替手段を考えるべきではないだろうか。寄付による基金の創設や、あるいは金銭ではなく単位などで支給される可能性などを探れはしないだろうか。 |
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1.ここ3年間でプラネタリウムに何回くらい行きましたか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[コメント] 「3年間で0回」と答えた人間がほぼ半数を占めるという結果になった。これは、天文学を専攻する学生にとってはもはやプラネタリウムは魅力的な空間ではないことを明らかにする結果だといえるだろう。このように、プラネタリウムが魅力的な空間ではない、と認識されてしまっていることをプラネタリウムサイドの方は重視して欲しい。プラネタリウムの魅力を学生にもっとアピールする必要があるのではないだろうか。 |
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2.その中で印象に残ったプラネタリウムがあればその名前を教えてください。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[回答] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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[コメント] 回答数は少ないながらも、いくつかの館の名前が挙げられている。ただし、“印象”に残ったプラネタリウムであるので、“悪い”印象と“良い”印象の両者の意味で挙げられていることに注意されたい(今後のアンケートではきちんと区別してとります・・・) |
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3.そのときの投影についての印象を教えてください。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[回答] | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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[コメント] 「きれい」「おもしろい」など正の評価も見られるが、「こどもむけ」「味がない」などの負の評価も見られた。科学的な話を聞いた、という評価がひとつも見られないのが気にかかる(天文学の学生といえども、自分の専門分野でない話は新鮮である)。 |
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4.プラネタリウムについてどんなイメージを持っていますか? | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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[コメント] 全体の傾向としては、「天文について語ってくれる夢とロマンあふれるたまに行けばよいところ」といったとこだろうか。このプラネタリウムに対するイメージが、天文の学生をしてプラネタリウムでの普及活動をしにくくさせている原因のひとつなのではないだろうか。つまり、私達天文学を専攻する学生は、プラネタリウムは天文学をしているところではない、と認識していると言えるのではないだろうか。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[全体総括] 天文学の普及活動の手段の一つとして、「プラネタリウムを使った普及活動」をするために基礎となるデータをとるのが今回のアンケートの目的であった。その結果、以上のような結果が得られた。これを素直に解釈すれば、「天文学を専攻する学生は普及活動に興味を持っているが、その手段としてプラネタリウムを使うということはあまり考えていない。なぜなら、プラネタリウムは子供向けで、科学をやっている場所ではないからだ。」と言うことができるのではないだろうか。もしそうであるのならば、話は簡単である。プラネタリウムでも科学が出来る、あるいはやっていることを積極的に宣伝し、プラネタリウムを使うことの長所をアピールすれば良いだけではないだろうか。プラネタリウムと学生を結びつける場、あるいは仕組みの創設を目指すべきであろう。 このアンケートには問題点も多い。例えば、「天文学と社会」分科会で主に配布したために、もともと普及活動に興味を持っている人間が多くなるようにselection biasがかかっている可能性がある。どの程度のbiasがかかっているかは全体に対してアンケートを取り直す必要があるだろうが、少なくとも73人はこのアンケートに協力して下さっている事実は重視されるべきだと思う。また、設問の仕方もまずく、もっと統計処理に使える形でやるべきであった箇所も多々ある。今後のアンケートに生かしたい。 最後になりましたが、アンケートにご協力してくださった皆様、どうもありがとうございました。 【文責:高梨 監修:平松 作成:ナツガリ】 |